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2018年04月08日14:50

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【展覧会】サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法展(練馬区立美術館)

「衝撃的でかつ明快な凝縮されたデッサン。説明文なしで難解さを衒うのではないデッサン。静的なギャグ、グラフィックな道化、それがふさわしい。」
サヴィニャックがポスター作成する際に心掛けていた考え方だ。
なるほど、その考え方が具体化した作品ばかり。シンプルでかわいらしくて、その瞬間に至るまでの経緯をいろいろと連想させつつ、しかし宣伝されているものがしっかりと見る者の目の心に飛び込んでくる。サヴィニャックだけでなく、どのデザイナーも心掛けていることではあるだろうけれど、嫌らしくないダイレクトさが商業ポスターに期待される最大のポイントなのだということを強く感じる展覧会だった。

サヴィニャックのポスターは絵柄の愛らしさだけでなく、様々なジャンルにわたっているところも興味深い。食品、飲料、日用品、家電、文房具、娯楽、乗り物などの商品やサービスだけでなく、啓蒙や反対活動にも及ぶ。サヴィニャックの手にかかると、あらゆるものがユーモラスでインパクトのあるポスターになってしまう。分かりやすいのに、ひねりが効いている。かわいいのに、ものすごく知的。こういうのをエスプリというのだろうか。試行錯誤を繰り返しての完成品ではあると思うが、苦労を感じない柔らかさと、研ぎ澄まされた知性がとても魅力的だ。

サヴィニャックのポスターはとてもフランス的だ。と言っても、何がどうフランス的なのか、フランス的とはどのようなものなのかを説明するのは難しい。ただ、「日本国内のフレンチビストロや、カフェ、パティスリー、ブーランジェリーの店内に飾ってある絵」と言われて連想するのはサヴィニャック、あるいはロートレックのポスターであり、私にとっての「フランス的」とは、これらのポスターから受ける印象そのものを指しているのかもしれないと思ったりもする。
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