mixiユーザー(id:735114)

2018年03月11日14:46

407 view

【展覧会】プラド美術館展(国立西洋美術館)

プラド美術館所蔵作品で構成される展覧会は何度も鑑賞しているが、感動する企画展に出会えたことがない。なぜだろう。トーンが統一されている作品が多いからか、実はスペイン・バロックにあまり興味がないのか、それとももしかして「何となく雑だな・・・」と思う私の素人の勘があながち間違っていないからか。
とはいえ、チラシに記載されているように「ベラスケス7点が一挙来日、これは事件です」。見に行かないわけにはいかない。
結果として今回も特にピンとこなかったというか、私自身にスペインにおける絵画の立ち位置を知るという発想がなかったので、展覧会の構成もよく理解できなかった。全体的な質は揃っていたけれど、点数が少ないので、概論の概論でしかないという印象を受けた。

そんな中でも興味深い作品はいくつかある。
フランシスコ・デ・スルバラン「磔刑のキリストと画家」:十字架に掛かっているキリストの横に立つのがお金持ちの寄進者ではなく画家本人という野心作。背景がほとんど黒一色で、ストイックな雰囲気。
ビセンテ・カルドゥーチョに帰属「巨大な男性頭部」:これは斬新!しかもスーパーリアリズム的。
デニス・ファン・アルスロート「ブリュッセルのオメガング もしくは鸚鵡(オウム)の祝祭:職業組合の行列」:非常に平面的で、人々がひたすら行列している様子を描いたもの。単眼鏡で覗くといろいろなものが描き込まれているのが見えて非常に面白い。
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「小鳥のいる聖家族」:かわいらしいマリア様を描かせたら世界一のムリーリョの作品だが、本作の中心はイエスの父、ヨセフ。ヨセフをイクメンに描いている作品は他にはないのではないだろうか。

そして、もっともその出来栄えに感心したのは、本展覧会の目玉、ディエゴ・ベラスケス「王太子バルタサール・カルロス騎馬像」。大きな作品だ。近寄ると照明が当たってしまって見えづらく、しかも筆致が荒い感じがするのだが、遠くから単眼鏡を通して眺めると、美しさに圧倒される。王太子が身につけている衣装の何と豪華なことか。金の刺繍、純白のレース、風にたなびく柔らかなスカーフの生地の質感。雪を頂いた山々、豊かな森、清涼な空気感。私にはベラスケスのどこがどう凄いのかということを説明することはできないが、ピカソやダリもベラスケスを評価していたことを考えると、やはりこの人は技術のみならず、独創性や構成力、主題の選び方などが卓越しているのだろう。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する