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2018年03月08日23:38

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毒おんな

 ザ・スズナリで椿組「毒おんな」を観る。舞台は人里離れた北海道の農場。農場主の叔父が、女性を連れてくる。女性は叔父の通う料理教室の講師であり、同棲相手のDVから逃れるため叔父を頼ったらしい。農場主は女性を雇うことにする。
 女性の名は秋野楓。この名前から奇妙と思ったが、叔父と2人きりになると、声の調子を変え、結婚をちらつかせながら生活費の援助を頼む。農場に出入りしている獣医とも、同じように関係し金を出させる。
 さらに利用価値のない女には言葉使いは丁寧ながら、完全に態度を変える。男から金を取るだけなら、周囲とうまくやった方がいいのだが、題名通り毒をまき散らし、人間関係を壊す。
 その理由としては、親からの支配を見せる回想場面があるのだが、これが「イキウメ」を思わせる現在と同時進行させる演劇ならではの演出。この場面が終盤の急展開と繋がり、楓の人生が一気に俯瞰できるのが面白い。
 見えてくる毒親の問題。親の業を引きずり、時として理不尽な怒りを爆発させる農場主に、直接の雇い主なのに楓が害を為さないのは、同じ種類の人間だからか。
 椿座は外波山文明主宰の小劇場の劇団。野外公演もあるし、アングラに寄っている。しかし今回の主演は客演の小泉今日子。どんな経緯で出演が決まったのは知らないが、この人が演じることで、男たちを狂わせる女に説得力が出る。柔らかい言葉使いや態度の中にも、毒を見せるのが絶妙。次回の舞台は寺十吾演出作品。実にいいセンスだ。
 場内の人口密度が高く、ちょっと大変だったが、余韻を残す幕切れまであっという間の2時間。楽しめる舞台。
 
 
 
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