大口論の末

口論してしまった数日後
「先日は言い訳ばかりしてごめんなさい。」
と孫娘。

実は私たちは大口論をしていた。
このとき私は孫娘の不遜な態度に怒り狂っていて、後に引かなかった。
怒りの原因は二つ。
朝起きると前夜作っておいた孫息子のサンドイッチが居間のテーブルの上に誰かがおいていた。
それがどうも孫娘によるものとわかった。
ツンツンしている彼女に何故かと聞くと、自分が弟の弁当は用意すると言ったじゃないのと怒る。
それに彼は卵のサンドイッチなんか好きじゃないのよと。
この態度はなんだとかっとした。
が一応冷静に説明した。
昨晩彼に聞いたのよ。彼は卵かハムならと答えたので作っておいたのよ。
ところがこれが気に入らなかったらしい。
孫娘は自分が弟の面倒を見ると張り切っていた時なのだ。
それでもこの態度は許せない。
そこからもう一つ許せない原因に口論が移った。
それは孫娘が母親に弟の面倒を見ることで（弁当代の食費、交通費、週末や休みに彼らを連れて出かけるための費用など）でお金を請求し受け取ったこと。
彼等の母親である長女が体力尽きて鬱っぽくなり食べなくなるので、金銭的にまた労働的に少しでも楽になるようにと、双子の一人を預かった。
なのに孫娘がお金を請求した時点で、これが水の泡になる。
なので私に相談するべきだったと。
アスペルガーの長女も常識に欠ける面もあり、また従順で受け身の性格なので、娘の要求を私に相談することもなくそのまま受け入れてしまった。
そして直接娘の口座に振り込むようにしたのだった。

「あんたはね、相談もしないで神のごとく振舞っているけど、あんただけじゃないのよ、私たちは同じ屋根の下に住んでいるのだから、話し合ってお互いが助け合うべきなのよ。彼の面倒を見ているのはあんただけじゃないのだから。」
それでもああだこうだと言い逃れしようとする孫娘に
「そんなに自分のやり方で弟の面倒みたいなら、彼と一緒に独立して好きなように面倒みれば良いのよ。」
と言いたくもないセリフを投げつけてしまった。
出て行けといったも同然。

それから数日は常日頃のような態度をとるものの、視線は合わせなかった。
私の怒りは収まらなかったのだ。
それは先日珍しく長女が訪れたときのことだった。
息子に頼まれて喘息用の薬を持ってきたのだそうだ。
「どう、経済的にも労働的にも少しは楽になった？」
聞いてみると答えは意外だった。
「ちっとも。前よりも大変なくらい。」
えっ、どうしてと訊くと
「だって、娘に双子のひとりぶんのお金を振り込むことになったから。」
といったのだ。
「どういうこと？私が一人を預かったのは少しでもあなたの状況が楽になるようにと思ったからなのに。」
とそこから私は相談もしない母娘に怒ったのだった。

そして昨日、孫娘は詫びたのだった。
そしてこれまで使った金額を計算してレシートと一緒に提出すると言う。
そして振り込みは私の方にするように手配するからと。

う〜ん、そうじゃないのだよね。私は長女の状況を少しでも楽になればと、そればかりを願っているんだが。
まあ、その説明はまたにするとして、素直に誤った孫娘は立派と認めよう。