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2017年12月31日02:41

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ノーテンキなんよ

23日にやってきた絵描きの親友(高校時代からの親友でイギリスはコーンウオールに在住)と私は毎日、簡単な日本食で過ごした。
食事しながら親友のお姉さんの話になった。
狂ったような政治と経済状況の中、どんどん世知辛い世の中になり、どんどん生きづらくなっていきつつ今年が終わりに近づいている。
そんな社会は忘れたように、親友と二人でのんびり過ごした。

「お姉さん料理が上手なんじゃろ?」
「上手よ、毎日市場から新鮮な魚を買うてきて料理してんよ。」
「ふ〜ん、美味しいじゃろうねえ。」
「すごい質素なんよ。」
「健康的じゃねえ。」
「でもちょっとノーテンキなんよ。」
「なんで?」
「気が付いちょった?お姉さん服の組み合わせもどこかちょっとおかしいんよ。」
「そうじゃったかねえ。」
60年代初期のあの頃、確か親友のお姉さんは洋裁が得意で、服は自分で作って、それもパステルカラーのスイートピーなんか刺繍したトップを着たりとオシャレだった記憶がある。
「ふん、ちょっとおかしいんよ。例えば誰かにもらった服を自分の丈を直して着たりしてんじゃけど、その丈が中途半端じゃったり。」
「ふうん」
「このくらいがええよと言ってあげても、ええの、私はこれが一番気に入っちょるんよ、とか言うてんよ。」
「そうなん?」
「自分で作ったマーマレードをね、出してくれちゃったんよ。それが変なマーマレードでね、あのトロッとしたところが一番美味しいじゃろ?」
「ふん(うん)」
「それがないんよ、皮だけを煮込んだような感じなんよ、トロッとしちょらんのよ。」
そんなマーマレード食べたことがないのでちょっと想像できない。
「でもお姉さんはこれが一番好きて言うてんよ。」
親友はマーマレード作りは本職並みだからこそ、この変なマーマレードを好きと言うお姉さんが信じられない気分なんだろう。
まあ、私も全くわからない。
「それにねえ、年取るごとにどんどん自分が好きになるんて。幸せよねえ。」
「へーえ、ええねえ。」
下手するとどんどん自分を嫌いになりかねないのに。
「どんどん自分が好きになるて、ええ(良い)ことじゃし幸せなことじゃと思うけどねえ。」
「うん、確かに幸せよねえ。」
「自分の料理が一番美味しいと信じちょってんよ、確かに美味しいけどね。」
「ふんふん。」
「じゃから(だから)ノーテンキでもあるんよ。」
「あはは、そうなん。」
「そーなんよ。」

ええ(良い)よねえ、ノーテンキって。
あはは、二人で笑った。

言っちゃあなんだが、自分を疑ったり嫌悪したりするよりはずっと生きやすいだろう。


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