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2017年12月22日07:16

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よくわかる分数

桐生という日本人男性が100メートルを10秒間で走ったとしたらその間の平均の速さは100/10=10メートル毎秒である。

速さとは移動距離を経過時間で割ったもので、単位時間当たりの移動距離のことを意味するのだけど、ここで単位時間とは1秒のことで、10メートル毎秒というのは10/1メートル毎秒の略だから1秒間に走る距離が10メートルであるということを言っているのである。

速さという分数を直観的にイメージしづらいのは、分母が目に見えない時間だからで、分数の意味は、分母が目に見える空間である、密度という分数を、例として挙げて、考えると、分かりやすい。

三次元の空間に物質が分布しているとして物質の重さをそれが占める空間の体積で割ったものを密度と言う。

これが単位体積当たりの重さであることならば、直観的に分かるのではないだろうか。

1立方センチメートル当たりの水の重さは1グラムであるということが密度の基準にされていて、水に浮くものは水より密度が小さく水に沈むものは水より密度が大きい。

目に見えない時間は目に見える空間になぞらえて理解するしかなくて、時間は、空間に投射されて可視化されなければ、分割不可能な純粋持続のままで、分数の分母たりえないだろう。

分母がnであるということは分数の分子をn等分に等分割するということだからだ。

物質分布のムラがないとは限らない空間において密度とは平均の密度のことであるということを、お分かり頂けたならば、平均の速さの概念についても、もはや視覚に訴え掛けるものとして、ビジュアルに分かって頂けただろうと思う。

たとえば、運転中の自動車のスピードメーターの針が60キロメートル毎時を指し示しているとすれば、それは瞬間の速さを表しているのだけど、その瞬間の速さを保ったままで一時間走行し続けたとすれば60キロメートルだけ移動することになるという事実をスピードメーターは表示しているのである。

瞬間の速さだから、もちろん分母は一時間よりもはるかに小さい。

分数全体の値を保つように、分母と分子を等倍していったとすれば、分母が一時間になったときに分子が60キロメートルになる、ということを、分数は意味しているのである。

白バイの警察官は、もし法定速度を超過している自動車を呼び止めて「時速60キロメートルで走っていましたよ。違反です。」と言ったときに「まだ走り始めてから5分しか経っていませんよ。まだ一時間も走っていないのだから60キロメートルも走っているはずがないじゃないですか。違反ではありません。」と言い返されたら、どう答えればいいだろうか。

確かに自動車の運転手の言うように、警察官は平均の速さの経過時間をじゅうぶんに小さくした瞬間の速さしか見ていないのだから、一瞬の間に走る距離が60キロメートルにまで達するわけがないのである。

案外知恵を絞らせる問題提起ではなかろうか。

まず速さという分数の分母と分子を等倍しても分数全体の値は変わらないことを言う必要があるのではなかろうか。

ついで、分母が単位時間1になったときの分子の値が分数全体の値であることを、すなわち60/1=60であることを、説明しなければならないのではなかろうか。

一時間に走る距離が時速であるとはそういうことである。

数学以外の科目に比べて数学は能力の個人差というのは大きく、数学的事実というのはこうやって言葉数を費やされなければ分からない人もいるので、縷々説明した。

数学者というのは数覚という第六番目の感覚が発達している人のことだと有名な日本人数学者が言っているのだけど、感覚的に分かるというレベルが欠損している人に分からせるにはくどいまでの工夫が必要なのだ。
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