夕刊フジの映画記事より
試写会で『8年越しの花嫁』は今年一番泣かされた作品となりました。何しろ脳の病で突然植物人間となった婚約者が正気に戻ることを信じて、8年間もずっと献身的に看病を続けた夫となる主人公の話なんです。これが実話だというから、泣けてきます。途中からは、婚約者の両親から、もう娘を諦めてくださいといわれても頑なに看病を続けたのです。
もしかしたらずっと意識が回復しないかもしれない状況の中で、ひたすら婚約者の回復を信じて止まない主人公の見返りを求めない愛の姿にこころ打たれました。
よく映画の結末は語ってはいけないというネタバレ原理主義者もいますが。この作品はもうタイトルで結末を歌っているので、文句のつけようがありませんね。
難病モノの作品の多くが、悲しい結末を強調させて、お涙頂戴となるなかで、本作は堂々のハッピーエンドでとても好感が持てました。ネタバレというけれど、肝心なことは結果でなく、どんなプロセスでそんな結末に至るのかを明かさないことの方が重要だと思います。
本作は実話なのに、ふたりが結婚に至るプロセスには、闘病生活の後も二転三転あって、こんな感じでよくゴールインできたモノだと驚かせられました。
まさに「事実は小説よりも奇なり」を地で行く作品でした。
主人公を演じる佐藤健の誠実さが、役にピタリとはまっています。また婚約者役を演じる土屋太鳳の闘病生活中の激太りやその後のリハビリで変顔になってしまう、可愛いキャラからの大変身ぶりが見物です。
難病モノにありがちな、過剰な演出を押さえて、ドキュメンタリーを見ているかのような自然な演出で涙を滲ませてくれた佐々監督の手堅い演出も凄く良かったです。
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