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2017年12月04日06:35

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悲しきサンタ

(9年前の作品。読んでくれたのが10名。

それ以上読んでくれるかな。)


私の名前は悲しき
サンタクロース

恵まれない子ども達を回るサンタクロース。

だれもやりたがらないんだ。

年に一度くらいの贈り物ぐらいでは子ども達は笑ってはくれない。
贈り物より、幸せな家庭とママやパパが欲しいと思っているから。

暖炉も煙突もない
道端や小屋や

土管の中、探すの
が大変なんだ。

贈り物を置いて来ても雪や雨で濡れてしまうから無駄のような気がするんだ。

この前は雪降る家の軒下でマッチ売りの女の子が倒れていた。
にっこり笑った顔して静かに眠っていた。

私はその女の子を抱いて帰って来たんだ。

涙を流しながら。
それから私は悲しきサンタて仲間に呼ばれるようになったんじゃ。

今日もあちこち
探さないと
誰も私などを待っていない子ども達を探さないと。

不器用な私が編んだマフラーを届けに行くんだ。

すると、もみの木の下で女の子が手を振っていた。

そばに降りると、女の子は私に手編みの手袋をくれた。ボロボロの手袋を昨年見ていたからだって。

それと、老眼のせいかあちこちサイズが合わないマフラーだったと注意された。

みんなで直すの手伝ってくれたんだ。

年老いたトナカイと一緒にそりは主の命じる空にかけあがった。

手を振る子ども達に鈴の音を残して

リーン

リーン

カーン

カーン





悲しきサンタは



嬉し涙を


流しながら


夜空の星に



消えて行った


カーン


カーン


リーン


リーン


ありがとう



ありがとう


悲しきサンタさん




合掌
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