mixiユーザー(id:735114)

2017年11月26日08:21

220 view

【オペラ】椿姫(新国立劇場)

太陽がさんさんと降り注ぐ情景がない。パーティー会場は青色を基調にしていて、薄暗い。豪華なシャンデリアがしつらえてはあるが、その明かりは人工的で冷たい感じがする。ヴィオレッタとアルフレードが暮らす家も、疑いと悲しみと絶望に満ちている。高級娼婦と裏社交界。夜。享楽、駆け引き。不治の病・・・。新国立劇場のプロダクションは白昼を堂々と歩けないような後ろ暗さをうまく演出しているように思う。
場面転換が何度かあり、舞台装置も都度変わるが、大きな鏡とグランドピアノが最初から最後まで通しで設置されているのは興味深い。鏡は自らの美貌や豪華なドレスを厳しくチェックする高級娼婦の必需品。ピアノも「椿姫」の舞台にはある意味必需品かもしれない。「椿姫」のモデルとなった実在の高級娼婦はピアノをよく弾き、フランツ・リストとも交流があったという。

ヴィオレッタ役のルングは細かいパッセージを丁寧に情感豊に歌い、強弱の音幅も広く、技術の高さを垣間見ることができた。しかも、細身で美人!
アルフレード役のポーリは1幕目はパワー不足の感があったが、2幕目以降はおおむね期待通り。もしかすると、1幕目ではおずおずとしていた田舎出身の善良な青年が、2幕目では愛する人と生活を共にすることで自分に自信を持っていく様子を声で表していたのかもしれない。
ジェルモン役のメオーニも存在感があった。「椿姫」はヴィオレッタとアルフレードの悲恋物語だが、ジェルモンの存在感の大きさがこの作品の出来を左右するのだと感じた。

今回は久々に泣けたオペラだった。
2015年5月に見た舞台と同演出なので、当時はどのような感想を持ったのだろうかと思いながらmixi日記を遡ってみた。その時も結構良い舞台だったようで、感動していた形跡があったが・・・そのわりに記憶に残っていないのはなぜだろう?



演出:ヴァンサン・ブサール
指揮:リッカルド・フリッツァ
ヴィオレッタ:イリーナ・ルング
アルフレード:アントニオ・ポーリ
ジェルモン:ジョヴァンニ・メオーニ
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する