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2017年11月04日22:41

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【展覧会】カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち展(パナソニック汐留ミュージアム)

カンディンスキー、ルオー、クレーの初期から晩年までを概観する展覧会。展示総数110点超で見応えはあるのだが、カンディンスキー18点、ルオー54点、クレー24点でそれぞれの画家の全貌を明らかにすることは難しく、中途半端に知識がある絵画ファンの私にはやや物足りない。だが、カンディンスキーとルオーに接点があったということを今まで考えたことがなかったし、色や形の側面から20世紀初頭の芸術動向を見ていくという意味では面白い展覧会だった。

作品を眺めていると、当時の芸術家たちが何に興味を持っていたのかがよく分かる。植民地経由で入ってくる様々な物や情報、第一次世界大戦などで価値観が大きく揺さぶられた時代。伝統、政治、宗教に疑問を投げかける作品や、形や色の意味を探ろうとする作品が作られるようになっていく。変化のスピードが加速化するのに合わせて、表現方法も多種多様になり、ほとばしる色彩、大胆な筆致、激しいコントラスト、そぎ落としたシンプルさなどが目立ってくる。そして、現代ほどではないにしても、前衛的であることに対する一般の人々の理解が大分深くなっていたことも強く感じられた。
20世紀初頭の人々が工業化や大量殺戮などかつて経験したことのない状況に直面していたのと同じく、21世紀の現代を生きる我々の前にも、人工知能や超高齢化社会など、得体の知れない大きな不安の壁が立ちはだかる。このような21世紀に生まれた芸術は、後でどのように評価されるのだろうか。

展覧会に来ている人はなぜか年齢層が高め。一人で鑑賞している人も多く、館内はものすごく静かだった。だが、熱はそれほどこもっていない(笑)。多分、カンディンスキー、ルオー、クレーそれぞれのファンが来ていて、意識が分散するからだろう。
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