池島ゆたか監督新作公開時は、監督が同行する鑑賞ツアーを慣行するが、今回は池島監督が撮影中のため、マイミクさんたちと新作「二人の巨乳妻 美和と茜」を観る。
友人である女性2人、茜美和と三輪茜の18歳、26歳、32歳を描いている。最初は強気の茜が心優しい美和を支配しているような関係に違和感を覚えた。しかし茜が歯科衛生士になれば、美和も歯科助手となる。「いつか一緒の歯医者で働きたい」とする美和は、それでも楽しげ。26歳になり、茜に子どもを産むと友人関係が終わると示唆された美和が、子どもを堕胎するのは、あまりにひどすぎる。前半は息がつまる感じだ。
ところが茜の夫が浮気中に急死すると、2人の関係に変化が訪れる。前半は茜の視点、後半は美和の視点で描かれるが、ここで2人は互いを補い合う存在と分かってくる。茜が美和の夫と関係を持つのは、「私の良心」である美和を試すかのよう。美和も「嫉妬や悪意を隠すのがうまい」と、自らの氷点を自覚し、奔放な茜に憧れる。
観ている間、ロバート・アルトマン監督「三人の女」を思い出した。あちらは3人の女が1人になる。こちらは逆。ファーストシーンで茜が、ラストシーンで美和が自らの「これから」を自覚する。茜からの手紙をきっかけに、閉じていた世界が開く爽快さがある。 今回は久しぶりに後藤大輔監督の脚本作。たまには別の脚本家と組むのもいいかもしれない。そして20数年ぶりに見る杉原みさおさん。懐かしい。今年の池島監督作で、最も楽しめた。
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