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2017年08月13日21:14

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絵描きの親友の前世 6

一昨日、あんた出て来れる?と親友から電話があった。
ロンドンの長男の家に3人の孫たちの子守の手伝いに来ている親友は明日時間が空くから会おうという。
随分と久しぶりなので二つ返事で会う約束をした。

ソーホーの小さな日本レストランで会った私たちは、懐かしい親友の顔を間近にみた。
「何年も前じゃけど日本から帰って来る飛行機でねえ、私の隣に日本女性で70くらいのお婆さんがね」
親友がテーブルの下で私の足を蹴った。
「あっ!そーか、私らも70代じゃね。」
ふ、ふ、ふと親友。
「それでそのおばあさんがね、猫が好きなんて(だそうよ)。」
「それで猫をねあの子はこうでとかこの子はああでとか、我が子みたいな話し方なんよ。」
「猫好きは皆そうみたいね。」
とまあたわいない会話。
親友はこのところ胃の調子が悪く腰痛にも悩まされているという。
エネルギッシュでスタミナがあり活動的な日々を過ごして来ただけに、心配。
しかし寄る年波には誰も勝てない。
もう少しゆっくりできるようになるとええねえ、というと頷く親友。
「でも帰ったらオープンスタジオ(自宅での個展)があるんよ。この準備が大変なんよ。」
そうか、子守で疲れて帰って、すぐまた個展の準備で大変なんだ。
よく頑張るなあ。

食後、ちょっと歩き近くのカフェでコーヒーを飲もうと提案。
親友は紅茶、猫舌の私はアイスコーヒー。
「私ねえ、前世中国の側室じゃったんよ。足が小さいし弱いし、ソーホーのスーパーのレジでは中国語で話しかけられるし。」
「そう言えばあんた、日本というよりも中国風よね、顔が。」
「じゃろ?」
「うん」
親友が云う。
「私らなんでこう長いこと友達なんかね?」
「思うじゃろ?高校時代は全てが同じと云う感じでね気がおうて(合って)仲良しじゃったけど、今は何から何まで違うもんね。」
頷く親友。
「笑わせてあげようか?」
「?」
「私らね、どの前世か知らんけどいつか双子じゃったんよ。」
親友は笑わなかった。

その昔東京時代シャンソンを聴きに行こうと誘ってくれたのを思い出した。
それは昭和27年銀座7丁目にオープンした「銀巴里」だった。
そこで丸山明宏(美輪明宏)のメケメケを初めて生で聴くことができた。
小柄で男性とも女性とも言えないものすごい美貌の人間が、あの華奢な体からとは信じられない音量で歌っていた。

こんな風に文化の先端をいつも親友は私に教えてくれるのだった。

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