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2017年08月07日23:24

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絵描きの親友の前世 4

フランソワールサガンの「悲しみよこんにちわ」を夢中で読み、石原慎太郎の「狂った果実」にびっくりし高校時代は終わった。

美大に合格した親友は家庭の事情で進学できなかった。
けれど東京で研究所に通いながら絵の勉強を続けながら次回のチャンスを待つことにした。

私はといえば女の絵描きなんてと猛反対され、それでもデザインならということで急遽デザイン科の試験を受けたが、見事落ちてしまった。
そしてあてもなく田舎でゴロゴロ。
その頃から伯父が熱心に良い婿を見つけてやるからと私を女の幸せは結婚であると説得するようになる。
ちょっとした危機感に襲われた。
親友のともかく東京に出てきたらという誘いに乗り、服飾デザインの勉強をしたいという口実に、洋裁なら田舎でも勉強できるという伯父や父をなんとか説得して東京に。
東京駅に親友が迎えにきてくれていた。
彼女はこれから映画を観に行くというので心細い私はくっついて行くことにした。
そして観たのが華麗でカラフルでロマンチックでもある「ウエストサイドストーリー」だった。
ダンスも衣装も歌も斬新でミュージカルを嫌いだった私には衝撃的だった。
まだアメリカの人種差別問題も知らない時だったし。
その後また親友と親密に交際しながら嫌いな洋裁学校に通った。

その親友と妹さんがある日知り合った面白い英国人男性を夕食に招待するからKOKOちゃんもおいでよという誘い。
その夜親友はなぜか英語が苦手だったはずなのに上手に通訳をしている。
英国人は日本語も交えて楽しそうに話している。
私と夫との出会いだった。
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