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2017年08月05日22:34

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絵描きの親友の前世 2

まさか高校で名前だけは知っている絵のうまい彼女に出会うとは夢にも思っていなかった。

驚いたことに絵描きの親友は私と同じクラスでしかも私の席の隣だった。
彼女を見てこの人を見たことがあると思った。
特徴的な大きな目は忘れられない。
それは小学校6年の時、伯父が絵の好きな私を市内の絵画教室であるチャーチル会というところに連れて行ってくれた。
毎週日曜日、そこで数時間絵を描く。
先生が指導してくれる。
山奥の小さな村から出てきた私はそこに集まっている子供たちの絵の巧さにびっくりした。
中でも長いおさげ髪を両肩に垂らしアイスボンボンをくわえたままで油絵を描いている子がいたのにはびっくり仰天した。
クリクリした大きな目はあたりをギロリと見ているようにも思え、ちょっと怖かった。
そこではただ黙々と描いて特に誰かと親しくなることもなかった。

あのおさげ髪のぎょろりと睨みまわす女の子、それが絵描きの親友だった。
高校では席が隣だったので自然口をきくようになり、お互い絵が好きなことで急速に仲良くなった。
彼女は背が高くその頃制服の他にも髪型はおかっぱかおさげと決まっていたが、彼女だけは当時呼ばれていた乙女がりというスタイルをしていた。
それがとても都会的に見えたものだ。
それだけではない。
彼女を知るにつけ、彼女が洋服や何かにつけ洗練した感覚を持っていることが解ってきた。
そして愛読している雑誌が「ソレイユ」で長沢節のイラストをこよなく愛していた。
これが昭和35年、60年代になったばかりの頃だから彼女がいかに時代の先端に目を向けていたかがわかる。
私はそういうことには全く疎い。
ただ彼女が素晴らしいと云ったものは、たとえスカーフであろうとそれがこの世で一番素晴らしく見えたものだ。

つまり私は彼女をとことん崇拝し、彼女から吸収しながら高校時代を過ごしたのだ。

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