プンジャブカレー

ガーデンセンターではせめて半額払わせてというナビーを押し止めてタクシーで戻った。
タクシーは親切なナビーの奢り。
そしてお茶を飲みながらしばらく話した。

ねえ、貴女が大学入試で頑張っていた時にボーイフレンドがいて彼との交際に強く反対したのがお兄さんだったわね。
で、貴女は家出してそのボーイフレンドと結婚し、大学も諦めて頑張ったのよね。
何年かのちに結局別れたわけなんだけど、例のお兄さんとは今はうまくいってるの？

ずっと聞きたかった質問をナビーに投げかけた。

ううん、全然うまくいってないのよ。
兄はね、私が小さい頃はすごく良い兄で話もわかるしピンクフロイドが大好きな若者だったの。
私は兄が大好きで憧れていたくらい。
ところがある頃から変わってしまったのよ。
変なグループと付き合って、イスラム教にのめり込んでしまったのね。
それもエキストリームなね。
だから私のボーイフレンドが同じ宗教じゃないからと反対したのよ。
明るくてハッピーだった兄がその頃から変わってしまって、、、いつも憂鬱そうで深刻で。
父にはなんでも話せたの。
だから今でも父のお墓詣りをして父と話し込むのよ。
そしてお墓に花を植えてあげたの。
けど兄がそれをすごく怒って引っこ抜いたんだと、姉から聞いたわ。
兄の言い分は花は死ぬ、だからいけないと。
わけわかんない、馬鹿馬鹿しい。
そんなことより私の父に対する気持ちの方がずっと大切だと思うのよね。

そうよね、気持ちが一番大切よ、ルールよりも。
そしてその想いはお父さんに通じているわよ。
宗教ってたまに人の視野を狭くし盲目的にするから、神の存在は信じているけど宗教は信じないのよ、私。

しばらくこんな会話の後、ナビーは料理を始めた。
にんにくたっぷりと生姜少々を潰しておく。
生姜やそのほか多数のスパイスと唐辛子少々。
料理をしながら洗い物もして片付ける。
やがてなんとも言えない良い匂いが漂い始め、チキンカレー、ポテトとほうれん草、ナスのカレー、サラダとヨーグルトソースが出来上がった。
グリーンピースと野菜入りのパキスタン米もふっくら炊き上がって美味しそう。

長女、孫娘とボーイフレンドにナビーと私はテーブルを囲んで、お代わりもしながら食べに食べた。
さっぱりした美味しいカレーなのでいくらでも入る。
デザートはアイスクリームにベリーのソース、これもいけた。

わあ、ご馳走様、ナビー！