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2017年07月01日23:48

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【映画】ザ・ダンサー

「ロートレック、ロダン、コクトーらのミューズ。シルクと光のダンスで新時代を切り開いた伝説のダンサー、ロイ・フラーの驚愕の実話」と映画のチラシに記載されていたので、世紀末パリの芸術家たちがたくさん登場する作品なのかと思っていた。ところが、芸術家たちとの交流にはまったく触れられていなかった。
ロイ・フラーがいかにしてパリの劇場に登場し、時代の寵児となっていったのかが分かったし、悪くない映画だったが、個人的には中途半端な印象。もう少し退廃的で悲壮感・絶望感があっても良かったのではないだろうか。イサドラ・ダンカンとの確執ももっとドロドロしていることを期待していたのに、あっさりしていた。ドルセー伯爵が亡くなった後のことが一切語られず、拍子抜け。
もっと言えば、ドルセー伯爵がいろいろな意味で気持ち悪すぎる。それに、モダンダンスをヴィヴァルディの音楽で踊るっていうのも、なんだかなぁ・・・(それが史実に基づいているのなら仕方がない、むしろ「斬新な踊りにあえてバロック音楽がオシャレ!」ということなのかもしれないけど)。

もちろん、非常に興味深い部分もたくさんあった。
電気とモダンダンスが今のように当然でない時代、フラーが演出した舞台は衝撃だっただろう。衣装や家具など、当時の文化的側面が見られるのも面白かった。芸能界でのし上がるには、本人に芸の才能があるのはもちろん、パトロンと敏腕マネージャーを見つけることも重要で、フラーはドルセー伯爵とガブリエルを味方につけることができたという意味でも有能な人だったのだろう。
なにより、フラーが満身創痍でありながら舞台にしがみつく執念が恐ろしくもあり、うらやましくもあり、切なくもあった。
それにしてもドルセー伯爵は何を予感したがゆえに自らに火を放ったのだろうか。



監督:ステファニー・ディ・ジュースト
ロイ・フラー:ソーコ
イサドラ・ダンカン:リリー=ローズ・デップ
ルイ・ドルセー伯爵:ギャスパー・ウリエル
ガブリエル:メラニー・ティエリー
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