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2017年05月06日22:01

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【展覧会】ブリューゲル「バベルの塔」展(東京都美術館)

休日の午後に美術館を訪れるのは久し振り。混雑が妙に新鮮だった。前売券を持っていたのでチケット購入の列に並ぶ必要はなかったが、入場規制があり、展示室に入るまでに10分ほど待つ。ようやく展示室に入っても入口付近は人が滞留しているので、遠くからちらっと作品を見るだけにとどまる。もっとも、最初のセクションは彫刻だったので、たとえ人が少なくてもスルーしてしまうのだけれど。

第2〜第4セクションまでは15〜16世紀のネーデルランド絵画が淡々と並ぶ。全体的に素朴で地味。ヴェネツィア絵画のような豪奢さがないのは、王侯貴族ではなく庶民のための作品だからなのかもしれない。
そして第5章、特異な作風で時代のトップを走るヒエロニムス・ボスの油彩2点。それぞれ4枚ほどの説明パネルが用意されていて、作品の背景の細かい部分を知ることができたのはありがたかった。木に止まっているフクロウ、猫の皮、廃墟のモンスター、花瓶の注ぎ口にいる小人など、説明がなければ絶対に見逃している・・・。

続く第6章はボスの影響を検証する作品が並ぶ。前章でボスのすごさを知ってしまった鑑賞者はこのセクションの絵の前で動こうとしない。なので私は鑑賞を諦める・・・。
第7章はブリューゲルの版画。キモカワ系キャラクターや緻密な表現が魅力的で、こちらも人が動かない。版画は近くに寄ってじっくり眺めたいが、それも叶わず。単眼鏡があればいいのかなぁ。

そして最終セクションは本展覧会の目玉、ピーテル・ブリューゲル1世の傑作「バベルの塔」。60×75cm、意外と小さい。だが、その中に実にいろいろなものが描き込まれている。残念ながら、近くで鑑賞する場合は立ち止まることが許されず、止まって鑑賞できるラインからでは絵が細かすぎてよく見えない。映像を見て、もう一度確認したいと思った箇所があれば、会場出口付近に展示されている300%拡大複製画でチェックするしかない。やっぱり単眼鏡が必要かなぁ・・・。

「バベルの塔」には1400もの人が描き込まれているとのこと。しかも、拡大すればするほど、粗くなるどころか細部がよく分かる。足場、レンガ、船のマスト、木々の枝葉、遠くの家、空を飛ぶ鳥・・・。どのような道具を用いてどのように描いたのだろうか?気が遠くなるほどの精密さにただただ驚くばかりだ。
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