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2017年04月16日23:35

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抗争と流血

 シネマヴェーラ渋谷で開催中の「流血と抗争」特集へ行く。この日の上映は松尾昭典監督78年作「沖縄10年戦争」。 利権を狙う本土のやくざによって沖縄のやくざが分断されて争うのは、植民地支配の常套。これを見せたのはいいが、視点があちこちに飛ぶせいか、どうも入り込めなかった。 沖縄から猛反発され、ロケも上映もできなかった作品という。松尾監督としては、かなりきつかったのではないか。この人の日活アクションには好きな作品が多いのだが、これは残念な出来。
 「北陸代理戦争」は、30年前に浅草名画座で観て以来の再見。深作欣二監督は、雪が降り続く北陸の風景を何度も挿入し、「仁義なき戦い」とは違った雰囲気を出した。
 ファーストシーンのとんでもない場面に場内爆笑。西村晃とハナ肇の好演で何度も笑いが起きる。この2人が強いものに巻かれて生き延びようとするやくざで、主人公の松方弘樹は、対照的に北陸でのし上がるため、殺しや裏切りを繰り返す。この熱さ。
 最近の韓国映画「アシュラ」が、悪人同士が争うノワールで評判になったが、日本映画は77年に全員悪人映画を作っている。しかしこんな映画はもうできないだろう。東映実録ものはこの映画で事実上終わりだ。
 上映後、「北陸代理戦争」に出演した高橋洋子さんのトークショー。作家になって女優はやめてしまい、リアルタイムで観た作品は少ないが、好きな女優だった。この映画の撮影時、松方弘樹は仁科明子との関係で騒がれていて、撮影中大人しかったとか。偶然にも、この映画の前にテレビで仁科と共演、「好きになる人には、必ず奥さんがいる」と言われたそうだ。深作監督は意外や気配りの人。地井武男を刺す場面は、セットが狭い上、発熱していてきつかった話から始まり、神代辰巳監督らのエピソードなど、トークも楽しかった。佐々部清監督の新作で、久しぶりにカムバックするのが楽しみだ。
 
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