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2017年04月01日04:40

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早くもレームダック化の兆しのトランプ政権に「ルシアンゲート」の芽

 政権発足後まだ3カ月もたたないのに、早くもトランプ政権にレームダック化の兆しが現れている。
 3月24日のオバマケアの見直し法案の撤回が、その最たる例だ。

◎オバマケア見直し法案の撤回を余儀なくされる
 この法案は、予備選当初の公約のオバマケアの廃止を改め、模様替えして議会に出したもの。1月に上下両院は、オバマケアの廃止を議決しているから、トランプ大統領は「改革」で最も容易な法案と踏んだようだ。これを可決して、自己の税制「改革」のスピードを上げようと目論んだが、見事に当てが外れた。
 下院に逸出された法案は、本来は共和党が圧倒的多数だから、容易に可決できるのに、そもそもオバマケアの完全廃止にこだわる原理主義的保守派(「フリーダム・コーカス」)が反対に回り、貧困層への保険給付を容認する共和党穏健派も反対を示し、両者の造反のために可決の票数を確保できなかった。

◎マーケットの視線は冷ややかに
 ライアン下院議長(写真)に否決の可能性の見通しを示されて、トランプ大統領は自らの法案を撤回した。
 マーケットは、これに敏感に反応した。トランプ政権にとって比較的容易なはずのオバマの見直しすら可決させられないのであれば、後の減税案やインフラ整備などもっと困難な改革などできない、と読んだのだ。
 ニューヨーク株式市場は、27日まで8営業日連続の下げを記録した。
 その後は、多少反発したが、マーケットにはかつての熱狂は、もうない。

◎「ルシアンゲート」疑惑の広がり
 政策遂行に大きな障害が立ちはだかっていることが明らかになった他、僕がかねて懸念していたウォーターゲート事件の再来=「ルシアンゲート」が深刻化していることにある(2月17日付日記:「フリン氏辞任、そして労働長官の就任辞退、ウォーターゲート事件の再来を懸念」を参照)。
 まずトランプ氏の女婿でトランプ政権の重鎮=大統領上級顧問のジャレッド・クシュナー氏に、ルシアン疑惑が浮上している。
 昨年12月の政権移行期に、クシュナー氏はロシアの駐米大使セルゲイ・イヴァノヴィチ・キスリャク(写真)と会談、さらにキスリャクから面談の依頼を受け、アメリカが制裁対象にしているロシア国営の対外経済銀行頭取のゴルコフと面会したという。

◎フリン氏に始まり、クシュナー氏にも
 アメリカ財務省は、制裁対象である対外経済銀行とアメリカ国民との取引を禁止しているが、面会までは禁止していない。しかしもしここで、制裁緩和などを陳情されたとすれば、違法になる。
 トランプ政権のルシアン疑惑は、これに留まらない。最初は、安保担当大統領補佐官に内定していたフリン氏が、まだ民間人の身分なのに駐米大使のキスリャクと制裁解除などを密談していた疑惑で、フリン氏は大統領補佐官を辞任した。2人の一連の密談で、クシュナー氏も同席していた時がある。

◎司法長官のセッションズ氏も
 さらに今年1月、セッションズ司法長官が議会での指名承認公聴会で、ロシアとの接触を問われ、「ロシアと連絡を取っていない」と答えたにもかかわらず、実際には大統領選中に大使のキスリャクと2度面会していたことが、3月に明らかになる。
 フリン氏、セッションズ氏、そしてクシュナー氏と、いずれもトランプ大統領の側近中の側近である。プーチンの手が、トランプ氏の陣営に深く、広く伸びていたことが分かる。
 もし大統領就任前でも、トランプ氏が就任後に制裁解除か緩和をキスリャクやロシア側のもっと上のレベルに約束していれば、民間人が外交に介入することを禁じた国法に違反する可能性が高い。そしてその事実で就任後に嘘をついていたことが裏付けられれば、大統領の非行に当たり、弾劾の訴追事由になり得る。

◎シリア・アレッポでは病院空爆の犯罪
 プーチンのロシアは、昨年12月はシリアのアレッポで、反体制派のみならず、病院や民間人への無差別空爆(写真=下の写真は空爆で破壊された外科病院)という戦争犯罪を行った犯罪者である。
 さらに今年になって、ウクライナ東部でも侵略戦争を拡大している。それを批判している元下院議員のデニス・ボロネンコフ氏を、3月23日にウクライナの首都キエフで白昼に暗殺している(3月28日付日記:「ロシアの闇の帝王、プーチン、またしても反対派のボロネンコフ氏を隣国首都キエフで白昼に暗殺」を参照)。
 トランプ氏がなぜそのような犯罪者集団に融和的だったのか、極めて不可解だ。

◎対ロシア関係改善の目は完全になくなった
 しかしさすがにこうした疑惑が、トランプ氏が毛嫌いするメディアにより次々と暴露されていることから、最近は対ロシア融和策は影を潜め、むしろ対ロシア批判が政権要人から口にされるようになった。議会は、共和、民主の党派を問わず、反ロシア一色である。
 こうなっている以上、もはやトランプ大統領は、対ロシア関係改善を図る環境ではなくなっている。
 アメリカと自由社会にとって、それは良いことである。
 それは、しかしトランプ氏の政治資的源がどんどん失われている過程でもある。危うい状況は、どんどんつのっている。

注 容量制限にタッチしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201704010000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

昨年の今日の日記:「ホモ・エレクトスの弱まった顎と歯の咀嚼形態は肉食と石器使用の効果、実験で明らかに」

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