mixiユーザー(id:735114)

2017年03月21日12:00

295 view

【展覧会】草間彌生 わが永遠の魂展(国立新美術館)

現代もの、日本人アーティストものは滅多に見ないのだが、草間の展覧会は機会があれば一度鑑賞してみたいと思っていた。10年以上前になるだろうか、六本木の森美術館で開催された草間の展覧会(クサマトリックス)に足を運んだ知人が「気が変になりそうだった。でも今まで体験したことがない感覚だった」と言っていたことがずっと頭の片隅に残っていたからだ。
プロローグに続いて入った展示室でいきなり驚かされる。非常に広い部屋の四方の壁にびっしりと並んでいるのは、2009年制作開始、総数500点超の連作「わが永遠の魂」からピックアップされた132点。鮮やかな色、様々な形に圧倒される。この展覧会は間違いなく、私が見た美術展の中で「ほとばしる」という言葉がすぐに浮かぶ数少ない貴重な展覧会の1つになるだろうと思った。
小さいサイズの絵ではない。にもかかわらずものすごいスピードで作成されている。しかし草間はそのスピードでさえもどかしく感じているのではないだろうか。まだまだ描きたいことがあると訴えてくる感がある。

次の展示室は1950年代、草間の初期作品が並ぶ。ぱっと見、イヴ・タンギーやマックス ・エルンストのようなシュルレアリスム作品だが、タンギーやエルンストとは異なって湿度が高く、内向的で陰鬱。草間は幼いころから幻覚に悩まされていて、そこから逃れるために絵を描いていたという。恐怖におののく草間の姿が想像できる作品群だ。
さらに次のセクションは草間のニューヨーク時代の、連続性が印象深い作品が並んでいた。

個人的には鏡を使った2作品、「生命の輝きに満ちて」と「我ひとり逝く」が面白いと思った。
「生命の輝きに満ちて」は鏡張りの部屋に電飾したもの。電飾の1つ1つは小さいのだが、鏡によって無限に増幅すると、蛍が飛び交う川辺、あるいは星がちりばめられた宇宙空間にいるような気がしてくる。
「我ひとり逝く」は床と天井に鏡を配し、間に梯子を置いた作品。下を見ると、鏡に映った梯子が地の底にまで続いているように見える。上を見ると、鏡に映った梯子が空をも突破するかのように上へと伸びている。

展覧会のチラシには草間が正面を向いてこちらを見据えている写真が載っている。1929年生まれとのことなので、今年で88歳。顔にしわが刻まれてはいるが、肌がきれいで目に力があり、10歳以上若く見える。草間だからというわけではなく、エネルギッシュに打ち込める何かがある限り人間は老化しないのだということを実感した。
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する