mixiユーザー(id:65552144)

2017年02月28日07:04

205 view

軽いランチ

スーパーでばったり美人子さんに出会った。

美人子さんはグレイビーの素やスープストックなどの並んでいるあたりを斜めに見つめ、ぼんやり何か迷っている様子だった。
何度目かの呼びかけの声に我に戻った美人子さんは目を見張り微笑んだ。
その微笑みは優しく懐かしげで元気そうだった。
どうやら息子さんのことで悩んでいたけれど元気を取り戻した様子。

「KOKOさん出かけてたでしょう?」
と美人子さん。
「うん、買い物でね出かけてて、一旦家に戻ってまたすぐ出かけてこのスーパーに。」
「だと思ったわ、実はね家を出る前にお電話したのよ。でも応答がなかったから。」
「あら、ごめんなさい」
「実はねここに来る前に寄らせてもらおうと思ったの。でもお留守だったから。よかったら帰りにちょっと寄らせていただいて良いかしら?」
「あ、どうぞどうぞ。あの、でもね。いますごく汚れているの。今日は今日はと思いながら掃除を引き延ばしたものだから、猫たちの毛とかで随分ひどい状態なんだけど。」
ちょっと間を置いて美人子さんは提案した。
「それじゃあ家に来ない?簡単なランチでもいかが?」
「あ、うん、良いわね、でも食事とかしなくても。私太りたくないし。お茶とビスケットで充分よ。」
「ならね、軽いランチということで。美味しいブリオーシュにスモークドサモンがあるから。」

翌日約束の時間美人子さんを訪れた。
クリスマス前のこの時期はクリスマスプレゼントの交換の意味もある。
私は用意していたプレゼントを手にうきうきとドアをノックした。

料理上手の美人子さんが用意してくれた軽いランチは軽くトーストしたブリオーシュにスクランブルエッグが載せられトップにスモークドサモンがたっぷり。
キャビアの粒がまだらにまかれ小さな薄切りのレモンがつけられていた。
それに柿の薄切りの入ったグリーンサラダ。
ミルクティーと合うのよとこれまた香りの良いミルクティーが出てきた。
やたら美味だった。

うーん、相変わらず料理上手。
それに組み合わせもうまい。

料理が上手いだけではない。
美人で頭も良く倹約家で質素ながらも好みの良いものを集めた家具や食器類などで内装も優雅に決める才能溢れる美人子さんは、それらの資質に恵まれていると思わずにはいられない。

なのに苦労が続いた。
そしてその苦労にめげそうになってしまうのだが、今日の美人子さんは明るさを取り戻していたのが嬉しい。

それにしても美味しかった。
7 8

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する