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2016年12月05日19:40

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映画『メン・イン・キャット』作品レビュー[日本公開:2016年11月25日]

★★★★☆
 最近の日本では猫がブーム。当然ながら誰もが猫好きとは限りません。そして、この映画の主人公も(^^ゞ
 本作は、トランプを彷彿させる不動産王の社長が、突然ネコとすり替わってしまうという、ドラマ『民王』もビックリの骨董無形なお話し。すり替わり場面は、かなり強引で説明無し!それでもストーリーに引き込まれるのは、本当に人間に見えてしまう主演のネコちゃんの名演技。そして、思わずホロリとさせられる主人公の愛情の深さ。何しろ人間に戻れるチャンスを犠牲にしてでも、息子を守ろうと決断するところはグッとくるでしょう。
 そういう点で、本作は現代の寓話なんだと思いました。仕事一筋で傲慢な社長としての主人公のトムが、なんでネコとすり替わってしまうのニャンというところに、主人公が気がつかなくてはいけない人生の問題集を提示しているのですね。ネコになって初めて、部下の自分に対する不満、裏切りや家族が抱えている葛藤に気がつくようになっていくのです。

 そうはいっても現実世界で人間が猫になることはありません。しかしある日突然、自分が望まない環境に置かれることはあります。その時あなたさまならどうされるでしょうか?トムの場合、人間に戻るには家族にふさわしい夫、そして父にならなければと悟り、猫の姿のまま奮闘します。猫の姿だからこそできることもあるのです。置かれた環境のせいにせず現実に立ち向かう姿に、家族を顧みず働いていた彼の面影はありません。寒い季節、心をほっと温めてくれる映画でした。

 それにしても、当初ネコになってしまったトムが、家族に自分がトムであることを伝えようともがく姿は、可笑しくて同情する気にもなれませんでした。しかもそんなネコになってしまったトムの努力も甲斐もなく、家族はトムをただの飼い猫としてか扱ってくれニャイのです。悲惨なのは、食事のとき。腹を空かせたトムが、妻におねだりして出てきたのは、当然キャットフード。味覚は人間のままのトムには、反吐が出そうな食感でした。それでも食べないと腹は空いたままです。
 なんとか口に合うモノをと、キッチンを駆け巡るトムの悲しいくらいの奮闘ぶりがまた可笑しかったです。
 動物が擬人化する作品では、表情に合成臭さが漂うものが多かったのですが、本作にはデジタル合成技術の進歩を感じました。家族にトムである証明の決めてとなる、家族との思い出のダンスシーンでは、ネコになったトムが、まるで人間が踊っているかのようなキレキレのダンスを披露して家族を驚かせます。それ以外も人間臭い仕草を見せて笑いを誘ってくれました。
 ネコ好きには必見でしょうニャ!

 物語は、仕事一筋、傲慢社長のトムが、娘から誕生日プレゼントにとせがまれて、苦手なネコを買います。しかしペットショップの帰り道。会社乗っ取りをたくらむ社員の罠にかかり、ネコと共にビルから転落。気付いた時には彼の意識はネコの中に。そして彼の肉体は、意識不明の重体のままという状態になってしまいます。
 ネコになったトムは、どうやって会社や家族を守るのか!ネコ嫌いがネコになるそのショックはいかばかりか!

●Introduction
『メン・イン・ブラック』シリーズなどのバリー・ソネンフェルドが監督を務めたコメディー。猫に変身してしまった大企業の社長の衝撃的な猫ライフを、ユーモアたっぷりに描き出す。ケヴィン・スペイシー、ジェニファー・ガーナー、クリストファー・ウォーケンらが出演。そのほか『マックス』などのロビー・アメルや『ライフ・アフター・ベス』などのシェリル・ハインズらが共演。オスカー俳優ケヴィンが、“猫”に成り切る名演ぶりが見どころ。

仕事一筋の超ワンマン社長トム(ケヴィン・スペイシー)の目下の狙いは、北半球一高いビルを建設すること。目標達成のためには家族との時間も惜しんできた。ある日、妻のララ(ジェニファー・ガーナー)に翌日が娘のレベッカ(マリーナ・ワイズマン)の誕生日だと言われ、彼女がずっと欲しがっていた猫を贈ることに決めるが……。 
[日本公開:2016年11月25日]


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