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2016年11月24日01:13

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天使も噓をつく

 座・高円寺で燐光群「天使も噓をつく」を観る。主人公は女性のドキュメンタリー映画監督。メガソーラー計画が持ち上がっている南の島へ、自分の映画の上映会のためにやってくる。ところが映画にメガソーラー計画への批判が入っていたことで、公民館が貸し出しを禁止。さらにメガソーラー計画はダミーであり、自衛隊のレーダー基地建設が計画されていた。
 主人公は「冷戦期アメリカB級表現に於ける核恐怖」とのテーマを研究していて、自らも田舎町が宇宙人に乗っ取られる劇映画の脚本を書いている。要はドン・シーゲル監督「盗まれた街」。抵抗運動が、その映画に重なっていくさまが面白い。山中で抵抗する人たちを排除する機動隊は、侵略者というわけ。
 この劇団はジャーナリスト的な視点があり、今回は南西諸島への自衛隊配備問題。反対者たちの抵抗運動は、高江がモデルだろう。宣戦布告する戦争がもはや不可能な現代、戦争は局地的な小競り合いだろう。レーダー基地ができた場合、確実に標的にされる。防衛省の計画では、いったん敵を上陸させ、反撃して取り返すことになるらしい。こうなると島民は死ぬか、生き延びても難民となる。本土は再び沖縄を捨石にするのか。
 こういった内容が伝わってきて興味深い。状況は絶望的だが、最後に意外な逆転がある。竹下景子と馬渕英里何による幕切れはあまりに美しい。「天使は人間に希望を持たせるため、あえて嘘をつく」と劇中で繰り返されるが、現状があまりにひどいため、これもそう見える。
 それでも、こんな問題を取り上げる姿勢はよく、キャラクターの面白さやテンポの良さ、時折の笑いなど、エンターテインメント性もある。2時間半があっという間だった。
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