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2016年11月05日22:18

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【バレエ】ロメオとジュリエット(新国立劇場)

プロコフィエフの「ロメオとジュリエット ピアノのための10の小品」の中から何曲か弾いたことがきっかけでバレエの「ロメオとジュリエット」に興味を持ち、オーケストラの全曲版CDを聴いて感動し、いつか舞台を鑑賞したいと思い続けていた。そして、ついにその日がやってきた!

序曲が始まってすぐに涙が出そうになる(笑)。この美しい曲をCDではなく生のオーケストラで聴けるなんて! 全体を通してオケの調子はあまり良くなかったようにも感じられたが、バレエを見る分、音楽に気持ちが集中しないので、特に不満はない。
舞台セットと衣装はシェイクスピアの原作どおり中世イタリアをイメージしてあり、豪華で素敵だった。

ロメオ役のムンタギロフは舞台映えのする長身のダンサー(多分、180cm以上あるだろう)。バルコニーのシーンでの情熱的な踊りには圧倒された。
ジュリエット役の米沢 唯も表現力と技術力が非常に高い。戸惑い、喜び、悲しみなどの心情を踊りで表現できることに感心してしまった。また、彼女はトゥシューズの音がほとんど聞こえず、常にふわりと浮いているかのようだった。
特にラストで仮死状態のジュリエットと嘆き悲しむロメオが踊るシーンは素晴らしかった。脱力しているように見せるのはジュリエット自身のテクニックだけでなく、ロメオの完璧なサポートも必要だろう。

音楽とバレエを同時に楽しみたいと思っていたシーンは第1幕から第3幕までそれぞれ1つずつある。
まず第1幕、「騎士たちの踊り」。これは踊りが意外とゆっくりで動きも少なく、やや拍子抜け。威圧的な感じは出ていたけれど。
第2幕は「マンドリンを手にした踊り」。ヴェニスのカーニバルやハロウィーンの仮装行列に登場しそうなモジャモジャのモンスターたちが軽妙な踊りを披露。マンドリンの軽やかな演奏も耳に心地良かった。
そして第3幕、「ユリの花を手にした娘たちの踊り」。私はこの音楽がとても好きだ。エキゾチックでミステリアス、ぽわ〜んとしている中に残酷な香りがする。思春期の女の子たちを表現するのにこれほど的確な音楽があるだろうかと思う。

陽気でいつも場を和ませているマキューシオは、ティボルトに刺されてもしぶとく愛嬌をふりまいている。彼が死ぬシーンは見ていて切なくなった。
自信家で正義感の強いティボルトの、ロメオごときに刺された自分が信じられないという壮絶な表情が素晴らしい。
喧嘩のシーンは剣がぶつかり合う音が音楽に対して正確でパーカッションのよう。ダンサーたちの努力と協力の賜物だろう。
芝居のようなバレエだった。また見てみたい。



演出・振付:ケネス・マクミラン
指揮:マーティン・イェーツ
ジュリエット:米沢 唯
ロメオ:ワディム・ムンタギロフ
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