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2016年10月16日22:02

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【オペラ】ワルキューレ(新国立劇場)

新国立劇場の2016/2017シーズンがいよいよ開幕! 嬉しい反面、ワーグナーのリングに始まりリングに終わる今シーズンは私のオペラ鑑賞人生の中で最も過酷な1年になりそうだ。

第1幕は上手から下手にかけて傾斜している舞台装置が面白かった。シンプルで緊張感がある。第2幕は船の甲板を連想させる大きくて長い舞台装置で、舞台の物理的な奥深さを実感。第3幕は私の苦手な電子的な演出だったが、岩山を囲む炎がリアルに表現されていて、美しかった。
ジークムント役のグールドは、前シーズンの「ラインの黄金」出演時よりも硬さは取れていたように思えたが、個人的にはもっと突き抜けた高音テノールを聴きたかった(・・・といっても、この作品の場合はこういうものなのかなぁ)。
ヴォータン役のグリムスレイは前シーズンのR.シュトラウス「サロメ」で圧倒的な存在感を放っていた歌手。本作で再び歌声が聴けることを楽しみにしていた。というか、逆にグリムスレイの声を聴くこと以外に本作には楽しみがないとまで思っていた。今回の舞台も期待どおり!
ジークリンデ役のウェーバーは若いけれど声量とスタミナが豊富。今後の活躍に注目したい。

印象深かったシーンは次の2つ。
まずは第2幕、ヴォータンとフリッカの夫婦喧嘩、もとい丁々発止の議論。女癖が悪く、自己中心的で横暴な夫と、正論を振りかざす妻というのは、ある意味お似合い。面倒くさいから別れちゃえばいいのに、そうするつもりもない。まぁ、夫婦ってそういうものなんだろうな(笑)。
そして第3幕、ヴォータンとブリュンヒルデの永遠の別れ。ヴォータンはどこまでも冷酷な父親だが、心の中ではブリュンヒルデを心配し、幸せを願っていた。それが分かったとき、私の父もきっと私の幸せを願ってくれているのだろうと思い、急に涙が込み上げてきた。

前シーズンから来シーズンまでの3シーズンをかけて上演される今回のリング。私はリングを通しで見たことがなく、過去にリングの各作品を見たときはまだオペラビギナーだったので、「リングを見た」「長くて辛かった」という記憶しかない。これから先、この壮大な作品を見る機会があるかどうかは分からないが、今回のリングが私の中での基準となる。そう考えると「ワーグナー面倒くさい・・・」とは言っていられない。「ジークフリート」と「神々の黄昏」は体調万全で臨まなければ。



演出:ゲッツ・フリードリヒ
指揮:飯守泰次郎
ジークムント:ステファン・グールド
フンディング:アルベルト・ペーゼンドルファー
ヴォータン:グリア・グリムスレイ
ジークリンデ:ジョゼフィーネ・ウェーバー
ブリュンヒルデ:イレーネ・テオリン
フリッカ:エレナ・ツィトコーワ
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