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2016年09月06日05:41

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成るか、北方領土4島返還の悲願、20年に1度の好機到来か、それとも老獪プーチンの策略か

 ロシア極東、ウラジオストクでの日ロ首脳会談が2日、行われた。安倍首相とプーチンとの会談は、はっきり覚えていないが、これで10数度目となるだろう。強権的なプーチンは好かないが、好むと好まざるにかかわらず隣の大国の独裁的指導者である。個人的関係を深めるのは、悪くはない。

◎プーチンが乗ってきたのは、長期安定政権だから
 会談では、ロシア極東地域への経済協力が話し合われ、懸案の領土問題も話題になった。安倍首相との深まった個人的関係からか、会談後の3日、プーチンは「領土問題を解決しなければならない」と、これまでのうちで最も踏み込んだ発言をしている。
 これには個人的関係もあるが、ロシア側は、安倍政権が長期安定政権だからこそ乗ってきたという背景もある。まさに、歴史的大勝負の秋(とき)である。
 ロシア側は、橋本政権以降、まともに領土問題を話し合おうとしなかった。毎年のように首相が替わる日本を相手に、国内の反対派を説得しつつガラス細工のような合意をしたとしても、首相が替わって(後にはバラマキスト民主党へ政権も代わった)ひっくり返されるリスクなど負えないのも道理なのだ。

◎川奈会談以来のチャンスか
 それに対ロシア外交に安倍首相が本腰であることは、腹心の世耕弘成経産相を「ロシア経済分野協力担当相」を新設のうえ兼務させ、さらに実弟の岸信夫氏を外務副大臣に起用してロシア外交を担当させたことにも表れている。プーチンのロシアは、これも見ていたことだろう。
 安倍首相にとって、悲願の北方領土の返還を成し遂げられれば歴史に名を刻める。そしてエリツィン大統領との川奈会談(1998年4月)以来のチャンスである。
 あの時、エリツィン大統領は橋本首相の「択捉島の北に国境線を引き、当面はロシアに4島の施政権を認める」との提案に、いったんは「ヤー(yes)」と言いそうになった。それを補佐官が押しとどめて、歴史的瞬間は成らなかった。

◎欧米制裁の今、ロシアには日本を突破口したい意志
 当時、ロシアは経済混乱の最中にあり、エリツィンにとって北方領土など重荷以外の何物でもなかった。日本に引き渡して、経済援助をもらった方がよほど良かったのだ。しかしこの混乱が、補佐官にエリツィン大統領を制止させたのだ。
 では、今はロシア側の事情は?
 エリツィン時代ほど国内は混乱していないが、モノカルチャーである原油・天然ガス価格が低迷し、ロシア経済はマイナス成長に陥っている。
 あまつさえクリミア強奪、ウクライナ東部の軍事干渉で、欧米から制裁を受けている。
 日本を突破口にしたいという意欲は強い。

◎領土問題解決は「弱い」政権ではできない
 だから日本からの経済協力は、喉から手が出るほど欲しい。しかしロシアの国内世論は、北方領土返還には反対論が圧倒的だ。あえてそれに手を付ければ、強い反発が起こる恐れがある。
 だから「弱い」政権には、できない。しかしプーチンは、8割に近い支持率を誇り、強権で抑え込んで国内に強固な反対派もいない。かつての共産主義時代に近い体制である。
 「やる」と言えば、断行できる力はある。たとえ一時的に支持率は落ちても、広大な領土を持つロシアでは、北方領土はすぐ忘れられるだろう。

◎「等分」が落とし所か
 会談後の3日、プーチンは「領土問題を解決しなければならない」と、これまでのうちで最も踏み込んだ発言をしている。
 その場合、衆目の見るところ、国後、色丹、歯舞3島を返還し、択捉島西部で国境線を引く「等分」での解決だ。ロシアは、スターリニスト中国とノルウェーの長年の国境紛争を、係争領土の等分で解決したことがある。
 「等分」での解決は、安倍首相にとっては困難な決断になる。4島一括変換のこれまでの旗を降ろし、正当な領土である択捉島の大部分を放棄しなければならないからだ。国内の領土原理主義派の反対を納得させるのは容易ではない。
 南千島どころか、明治政府が帝政ロシアと結んだ「千島樺太交換条約」に基づき、全千島の返還を求める僕も、反対だ(北端の占守島には、赤軍が侵攻・占領する前に日本の民間人が入植していた(15年8月29日付日記:「最果ての北千島の占守島に半世紀も暮らした日本人=別所佐吉と二郎蔵の家族の記」を参照)。

◎等分返還なら国後水道の海峡が問題
 しかし原理主義論を主張するだけでは、100年たっても歯舞・色丹さえ返ってこないだろう。
 プーチンのロシアにとって、国後島返還は、相当な決断を要する。特にロシア軍の反対は強いだろう。
 もしも等分返還となれば、国後島と択捉島の間の国後水道(ロシア名はエカチェリーナ海峡)が日本の領海となるからだ。国後水道は、水深が484メートルもあり、ロシア海軍の太平洋艦隊にとってオホーツク海から太平洋へ出るための交通の要衝だ。ロシア海軍の出口はそれだけではないけれども、むしろここがアメリカ海軍のオホーツク海への入り口になることが問題となる。
 さらにプーチンは老獪な策略家、である。日本の期待感だけ高め、経済協力だけ食い逃げする可能性もある。油断できない。
 12月に、プーチンが訪日する。この時、プーチンはどんな手土産を持ってくるだろうか。

昨年の今日の日記:「間もなくスタートのマイナンバー制、知っていますか?;政治」
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