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2016年08月30日06:03

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パセオライヴ 稲田進ソロライヴ

稲田進さんのソロライヴは
お母様への追悼の舞台となりました。
”内圧”の中には哀しみの圧力が渦巻いていて
それが滲み出るほどのエネルギーに
包まれている身体の存在感は
怖いくらいの凄みがありました。
暗い客席の間を
重い足取りでゆっくりと舞台に向かう姿は
闇の中に生きる深海魚のようでした。
200メートルよりももっと深い海の水圧に
耐える内圧の底知れぬ力。
そしてふと、その生を育むのは
母なる海なのだと気付く。
松谷冬太さんの力みのない不思議な歌声は
どこか懐かしく
生まれたばかりの赤ん坊が
自分の発した声に驚き
身体を響かせる面白さを知るような
原始の歓びに満ちていました。
ラストのマルティネーテ・イ・セビジャーナス。
鎮魂歌のようなマルティネーテに続いて
稲田さんがひとりで舞った鬼気迫るセビジャーナス。
そのとき向き合っていた人は誰だったのかを想い、
目頭が熱くなるのを抑えられませんでした。
生を受けた者の歓びと哀しみの営み
その重みを感じさせる
得難い舞台。

ライブの後のフエルガがまた凄かった。
客席にいたアルティスタたちが
稲田さんの想いに寄り添い、ひとつになって
踊り、歌い、祈る。
小島慶子さんが恐れずに先陣を切って突入。
追悼の想いを一気に加速する。
川島桂子さんが艶のある声で空間を包む。
有田圭輔さんが踊る。
三枝雄輔さんが全身全霊で煽る。
斉藤克己さんは浴衣の裾をひるがえし自ら華となる・・・
何の制約も無いところで
自分の持つ最善のものを惜しみなく捧げていました。
最後は、稲田さんが遺影に向かい手を差し伸べ、
そこにすべての人の気持ちが注がれていく。
ドラマを超えたドラマがありました。


【パセオフラメンコライヴ Vol.031】
稲田進 ソロライヴ

稲田進(バイレ)
阿部真(カンテ)
尾藤大介(ギター)
山室弘美(パルマ)
容昌(パーカッション)
松谷冬太(歌)
8/25(木)高円寺エスペランサ
写真撮影:小倉泉弥
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