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2016年03月26日05:22

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分裂病における時空間の不成立

狂人は現在目の前にあるものは正しく直感しているのだけど、それが目の前から過ぎ去って過去になると同時にそれを「あれは何かの間違いだったのだ」として意識下に却下してしまうために、過去の記憶が意識上に存在しない。

現在目の前にあるものが意識上に存在していて、過去の記憶が意識下に存在していて、その間に断絶があることによって、時間が寸断されていて、現在と過去の間に隙間があるので、それをフィクションで埋めざるを得ない結果として、思考が間違うために、狂人の思考は妄想と診断される。

言い換えれば、意識下の知を意識上の知に変換する、記憶の想起の過程で、虚偽が混入して、思考が妄想になるのだけど、狂人の妄想は、記憶の糸が散り散りに切れていて、現在から過去へ継続的につながっていくような時間の回想が不可能ならしめられていることによって、生じるものである。

じつは、狂人が欠いている、現在から過去に向かって均等につながっているような時間は、自他未分状態から他者が自己とは独立したものとして分化することによって可能ならしめられる、自己から他者に向かって均等につながっているような空間と、共起するものだ。

つまりどういうことかと言えば、赤子は自己が確立していないから、現在目の前にあるものは正しく直感していても、「あなたが感じていることをわたしも感じているよ」と共感を示してくれる母親という他者がいなければ、自分が感じている事実を事実と信じられず、それが目の前から過ぎ去って過去になると同時にそれを意識下へ却下してしまう結果として、心が意識上と意識下へ分裂してしまう、という意味で、狂人は分裂病患者と呼ばれる。

このように、自己は他者に認められることによって初めて他者とは区別されるものとして確立するものだ。

ありのままの自分を認めない母親という他者が内面化される結果として、ありのままの自分とありのままの自分を認めないもう一人の自分がいる、というふうに、元来は一人だった自分が二人に分裂してしまうことを、分裂病と呼ぶのだけど、二人の自分の間の隙間を埋めるフィクションが妄想である。

他者とは区別されるものとして初めて自己は自己であるという自己同一性は獲得されるのだけど、自己同一性を獲得できていない分裂病患者においては、自他の区別の不成立のために、つつぬけ体験のように自分が漏れ出て他人になる現象や、させられ体験や幻聴のように他人が自分に侵入する現象として、症状が出て来る。

このように、分裂病の本質は自我の脆弱性の問題にあるから、その治療は、自我の強化を目的として、インナーチャイルドの育て直しとして、行われる。

分裂病とは余りに早く大人になった大人しい子が発病するもので、インナーチャイルドである内的自己から外的自己が分裂しているということだ。
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