mixiユーザー(id:735114)

2016年01月12日09:43

191 view

【展覧会】フェルメールとレンブラント展(京都市美術館)

17世紀オランダ絵画60点。多すぎず少なすぎず、質が揃っていてコンパクトにまとまった展覧会だが、「フェルメールとレンブラント展」なのにもかかわらずフェルメールとレンブラントがそれぞれ1点ずつしか出ていないので肩透かしを食らった。
もちろん、「オランダ絵画展」では地味すぎて人が集まらないから、「フェルメールとレンブラント展」になってしまうのも仕方がないことだけれど。

とはいえ、フェルメール「水差しを持つ女」とレンブラント「ベローナ」は、いずれもニューヨークのメトロポリタン美術館所蔵で、日本初公開。この2点を見るためだけに美術館に足を運んでも損はないだろう。

「水差しを持つ女」は、静謐で柔らかい。そして、神秘的というよりも、どこか謎めいている。モナ・リザのようなかすかな微笑みをたたえた女性。風俗画にしては崇高で、肖像画にしてはカジュアルだ。ステンドグラスのある窓、赤いテーブルクロス、壁にかかった地図、鋲を打った椅子はフェルメールの作品でお馴染みのアイテムだが、それゆえにそこに何か寓意が込められているようにも感じられる。顔の小ささと肩幅の狭さのわりに腕が太くて長いのは、安定した構図を作るための演出だろうか。
見ているうちに寒気がした。フェルメールの絵を見て感動するのは初めてだ。考えてみれば、フェルメールの絵をじっくり見る機会は多くはない。国内での展覧会は混雑がひどくてまともに鑑賞できないし、海外の美術館では他に見なければならないものがたくさんあってフェルメールに時間をかけてはいられないからだ。

「ベローナ」はローマ神話に登場する戦いの女神だが、ごついのは甲冑と盾だけで、顔は優しげ。私の友人にも似ていて、懐かしい感じがした。鎧や盾の硬質な光沢とビロードの柔らかな質感の描き分けが見事。
今回の展覧会ではレンブラントの師、レンブラントの弟子たちの作品も展示されていて、それぞれに影響を受けていた様子も伝わってきた。

本展覧会は1月14日から東京に巡回する予定だが、日本初公開のフェルメールに人が集中するのは目に見えている。少しでも空いている日時を狙いたいと思っていたところに、ちょうど京都に行く機会あり、京都市美術館へ足を運んだ。
京都市美術館は平安神宮のすぐ近くに位置し、お正月の三が日はかなりの人出ではあったが、その人混みがそっくり美術館に来るわけではなく、混雑状況は予想範囲内。少なくとも東京よりは確実に空いていて、フェルメールもレンブラントも近くでじっくり眺めることができた。
3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する