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2015年12月19日23:42

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椿組

 新宿のSPACE梟座こけら落としの、椿組プロデュース公演を見に行く。演劇には珍しい2本立て公演。1本目は外波山文明ひとり芝居「四畳半襖の裏張り」。戦後間もないころ、女遊びで鳴らした男のもとに、雑誌記者が取材に来る。男はある芸者とのセックスを語りだす。
 原作は永井荷風らしく、本人も作品発表時には、わいせつ容疑で警察に呼ばれた。その後に野坂昭如が「面白半分」に掲載すると、こちらもわいせつで告発された。そのためか男のセックス描写は演劇にしては生々しい。
 神代辰巳監督が映画化しているが、あれは3組のカップルが出てきた。こちらはその中の袖子と信介の話に絞っている。ぬけぬけとしたハッピーエンドまで、映画とは違い、「会社をしくじり、貯金を失って」も、人生を楽しむ男。映画と違った楽天的なテイストが面白い。
 外波山文明を始めて認識したのは、80年代ピンク映画の特異な男優としてだった。そのころから続けている芝居なので、さすがだ。
 続いて道産子男闘呼倶楽部「ツインベッド カルカッタの眠れない夜」。ユニット名通り、策、演出、出演者が北海道出身。モダンスイマーズの津村知与支と、扉座の犬飼淳治のふたり芝居。
 カルカッタを旅する2人の男。1人は「部長」と呼ばれるやくざ幹部。1人は年上だがチンピラの男。目的は媚薬の入手。手違いで安ホテルに泊まることになり、またインドの気候や人間になじめず終始苛立つ部長。チンピラの男は若いころ世界一周したこともあり、英語も堪能で旅慣れている。
 「日本ではお前などどうにでもなる」と言う部長だが、インドでは男がいないと何もできない。これもイライラの原因。
 理不尽なまでに虚勢を張る部長と、徹底してマイペースの男との、かみ合わないやり取りが笑いを呼ぶ。男の忠告を無視し、夜中に出ていった部長が、文字通り身ぐるみはがれて戻ってくる場面はとくにおかしい。2人の役者が息が合っていていいのだ。
 あの結末は、両者が影響し合った結果か。この2人の芝居はまた見たい。今年の演劇は、今日が最後の予定だが、締めくくりにふさわしい面白さ。
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