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2015年10月13日04:58

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シリア反体制派を見捨てたオバマとEUと非情と過ち;現代史

 シリアのアサド政権へのロシアの肩入れが急である。9月30日からアサド独裁政権の要請に応じて、シリア反体制派への空爆を実施しているが、10月7日にはカスピ海に展開する巡洋艦4隻から巡航ミサイルをシリアに撃ち込んだ。

◎アサドとロシアは反体制派の制圧に本腰
 さらに30日のロシア上院によるロシア軍の海外派遣の承認を受け、プーチンはウクライナ東部に展開する軍の一部を引き抜き、またチェチェンのカドゥーロフの私兵の一部も加え、シリア反体制派支配地域に地上軍も投入している模様だ(ただし未確認)。
 空爆以外に、ロシア領から巡航ミサイルを撃ち込み、さらには地上軍も投入しているとすると、プーチンはアサド政権の立て直しはもちろん、東部・北部のISIL(自称「イスラム国」)支配地域以外の反体制派支配地域の完全制覇を目指すことが鮮明になっている。
 実際、ロシア軍の本格介入をきっかけに、アサド政権軍の支配地域は急速に拡大している。

◎オバマのアメリカ、シリアからの足抜けに
 アメリカや欧米諸国が支援して来た自由シリア軍を中心とした反アサド反体制派は、一気に苦境に陥っているが、この機に至って弱腰オバマは、何とも理解に苦しむ行動に出た。アメリカ政府は、9日、反体制派への軍事訓練を一時停止する、と声明したのだ。替わりに、武器を供与するという。
 これは、誰が見てもシリアからの足抜けの声明である。
 オバマのアメリカは、反体制派を見捨てたのだ。
 オバマの中東政策に、政権発足後から一貫して厳しく批判して来た共和党は、アメリカは「ISILとの戦争に敗れつつある」(マケイン上院軍事委員長)と糾弾したが、シリアの対ISIL戦争はアサド政権・ロシアに任せた、ということなのだろう。

◎大国の横暴とエゴ
 洪水のように流入するシリア経済難民に手を焼いているEUの中にも、アサド政権にISILを戦わせるのもやむなし、という意見も出ている。これでシリアが安定化すれば、経済難民の流入は和らぐ、とまことにエゴイスティックな考えなのだ。
 それならオバマとEUが後押しした自由シリア軍などの反体制派は、どうなるのか。オバマとEUに裏切られた反体制派は、祖国解放を諦め、亡命せよ、と言うのか。
 まさに大国の横暴、エゴ、そのものである。

◎スペイン内戦でフランコ軍の攻勢を傍観したフランスとイギリス
 我々は、これにデジャヴ(既視感)がある。今から77年前のスペイン内戦である。
 共和国政府とナチ・ドイツの支援を受けたフランコ反乱軍との内戦だったが、共和国政府をフランス、イギリス、スターリンのソ連、そして欧米の知識人が支援した。
 しかし共和国政府は、ソ連の操り人形のスペイン共産党の裏切りにあい、フランコとの内戦に最終的に敗北する。
 1938年12月の共和国政府の拠点だったカタルーニャ(カタロニア)州はフランコ軍に攻められ、翌年1月、最大の拠点だったバルセロナが陥落し、スペイン内戦は共和派の悲劇的敗北で集結した。
 この時、フランスとイギリスは、苦境の共和派を見捨てた。

◎自由を求めて戦う中東の市民への裏切り
 このスペイン内戦でフランコの勝利したことが、後にフランコを支援したナチ・ドイツを増長させ、第二次世界大戦の引き金を引かせることになる。
 オバマのアメリカは、かつてのスペインの共和派を見捨てたフランス、イギリスの轍を踏もうとしている。
 そしてオバマの裏切りは、シリアの自由を求める革命軍に対する重大な背信であり、それは中東の自由を求める市民たちにアメリカの誠意を疑わせることにもなる。

昨年の今日の日記:「脚の痛みをこらえて札幌の円山に登る;紀行」
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