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2015年10月05日14:25

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【謡曲】野宮

光源氏と六条御息所が秋の野宮で再会したという源氏物語のエピソードをベースにした作品。御息所は夫を亡くして以降、幸運が巡ってこない。何もかもが裏目に出てしまい、没落するわけではないにしても、明るい未来を描くことができない。謡も終始物悲しい雰囲気だ。

本作の舞台である野宮神社は今も京都・嵐山にある。嵐山はモミジの名所なので、秋になると周囲は華やかな色に染まるが、しかしまた、秋は寒く暗い冬に向かおうとしている季節でもある。場所も季節も、いろいろな意味で御息所にぴったりだ。

技術的には、やはり後半が難しい。上音から一気に音が下がったり、テンポよく謡わなければならないところなのに符号の細かさに足を取られたり。そして最も印象深いのはラスト。どこまでも下がっていく感じが、寂しく、切なく、美しい。
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