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2015年09月24日10:09

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【展覧会】もうひとつの輝き 最後の印象派展(東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)

印象派全盛期以降、抽象に流れなかった画家たちにスポットライトを当てた展覧会。
印象派の系統を引き継ぐ作品が並ぶが、すべての作品がバリバリの印象派風というわけではない。もしかすると象徴的・寓意的な意味が含まれているのかもしれないが、それを知らなくても十分に楽しめる。絵に詳しくない人にとって敷居が高くないのが良い。
抽象画が十分に受け入れられている現代の視点で見ると斬新さに欠けて面白みがない部分もあるのだが、当時はこれらの親しみやすい絵画は理解不能な抽象画よりも好まれたのではないかと思う。せっかく自宅に絵を飾るなら、キレイで穏やかな作品のほうが癒されるし、来客ウケもいいだろうし(笑)。

印象深かった作品は以下の3点。

アンリ・マルタン「野原を行く少女」:
花をそんなふうにずるずると引きずって歩いたりはしないでしょと突っ込みたくなるし、よくよく考えるとちょっと不思議な夢遊病的作品なのだが、草原の明るい緑と少女の白いドレス、ゆるやかに連なる花々がいつまでも心に残る。

アンリ・デュエム「羊飼いと羊の帰還」:
寒々しく赤い夕陽に衝撃を受けた。あまりに寒くて鼻が痛くなり、涙が出てくるような作品。

エミール・クラウス「リス川の夕霧」:
色遣いと筆致が実に印象派的。太陽の光がさーっと音を立ててこちらに向かってくるので、身を反らせたくなってしまう(笑)。


絵を見ながら、「作りたい本と売れる本は違う」と職場の先輩に言われたことをふと思い出した。絵画も同じく、「描きたい絵と売れる絵は違う」だろう。
本展覧会で取り上げている画家たちは描きたい絵が売れる稀有な存在だったように思うが、それでも彼らの中では「描きたい絵と売れる絵は違う」という葛藤があったのだろうか。
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