ホラー秘宝

　今年もキネカ大森で開催されている「ホラー秘宝」を見に行く。劇場では見られないホラー映画の特集上映で、今年は「ヘルレイザー」シリーズの回顧上映があったりするが、行けるのはこの日のみ。
　「メキシコ・オブ・デス」。題名通りメキシコのホラーオムニバス。傑出した作品はないのだが、ハリウッド製ホラーを見慣れていると、奇妙な作品が多い。
　親からつらく当たられている幼女は、近所をうろつくホームレスが殺人鬼であることを見抜いているが、誰も耳を貸さず、結局兄が殺される。この救いのなさ。死者の祭りの日を舞台にした作品は、女たちが突如始める殺戮にあっけにとられる。
　他にもマカロニウエスタンに幽霊が現れるような作品や、フィルムに傷のあるような映像の作品など、訳がわからなかったり意図不明だったりする。しかし残酷描写はしっかりしている。
　「人間まがい」は、実際の事件をもとにしている、と出る。８７年、主人公は友人が空から来た光に連れ去られるのを見る。その２年後、主人公は災厄を予感。その通り、帰ってきた友人は、殺人を重ねながら、主人公の前に現れる。緊張感のある場面もある。しかし登場人物たちの行動が支離滅裂だったり、気持ちが入らない。ラストも唐突。今年の作品はいま一つ。それでも面白い企画なので、来年も開催希望です。