土曜のイベントに行けなかったので、マイミクさんとともに光音座で国沢実監督の新作「愛棒 激情版」を見る。この題名とポスターに、久しぶりにピンク映画の精神を見る。テレビ朝日もここまでチェックしていないだろう。
主人公は刑事ドラマに憧れて警察官になった青年。影響を受けたドラマは「太陽にほえろ」や「特捜最前線」なのは、年齢と合っていないが、私の世代にはぴったりで感情は伝わる。しかし主人公の傲慢さで気持ちが入らない。
日常の仕事にうんざりしているのはいいが、酔っ払いに殴られて拳銃を抜いたり、道を聞く老婆を邪険にしたり、自分を慕う相方への冷たい態度など、弱い人間が権力を笠に威張っているようで、肩入れできない。拳銃を奪われても、自業自得としか思えない。
冒頭の夢オチは「男はつらいよ」だし、その後の刑事ドラマごっこも楽しいので、完全にコメディにすべきだったのでは。それなら敵への笑ってしまう反撃も、敵味方がカラミ合う能天気なラストもしっくりくる。主人公に自覚が生まれる場面や、ブルース・リーの引用など面白いところもあるだけに、惜しい出来。
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