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2015年07月11日22:05

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上野由恵@所沢市立松井公民館

昨年2月8日(土)、所沢の松井公民館というところでコンサートが予定されていた。
ところがその日は大雪で中止になってしまった。
そして今日がそのリベンジ・マッチ。
雪の心配はないが、あるとすれば台風だね〜、などと笑っていたのだが、実際にトリプル台風が来ていた。先週くらいはヤバイんじゃないの、という状況だったが、こちらには影響なく暑い一日だった。

上野由恵:フルート
前田拓郎:ピアノ

01.ムーケ:パンの笛
02.マラン・マレ:ラ・フォリア(フルート・ソロ)
03.ドビュッシー:アラベスク 第1番(ピアノ・ソロ)
04.ドビュッシー:夢(ピアノ・ソロ)
05.ドゥメルスマン:オベロンによる大幻想曲
<休憩>
06.ドビュッシー:シリンクス(フルート・ソロ)
07.ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
08.フランク:ソナタ イ長調
<アンコール>
09.ドンジョン:エレジー(フルート・ソロ)
10.フォーレ:シシリエンヌ
<トーク&質疑応答>

事前予約で\1,300也。
ハーフサイズかな、と思ったらフル・コンサートでした。
これ安すぎだろう。

全てフランスもので統一。

最近ムーケのこの曲をよく取り上げている。抒情的ないい曲だ。
マレのフォリアはもともとはヴィオラ・ダ・ガンバの曲だが、フルート独奏で演奏されることも多い。今日は抜粋版。彼女の音色のバリエーションがよくわかる。
ドゥメルスマンの曲はウェーバーのオペラを元にした超絶技巧曲。こうした曲をケレン味なく吹きこなすのも彼女の魅力だ。超絶技巧を聴く痛快さというのを感じさせてくれる。

ピアノ・ソロの2曲では大きな曲を丸めるようにして丁寧に弾いていた。豪快に弾けるピアニストのようだが、ここではデリケートな表現に終始していた。もっとも豪快に弾ける曲ではないのだが。

後半のドビュッシーの牧神がらみの2曲を続けて演奏したのは慧眼だと思う。
繊細で幻想的な表現に長けている。フルートの音色に霊的なものを漂わせる。幽玄とでも言うべきか。
ドビュッシーの音の組み立て方は今でも斬新に響くということを改めて感じた。

フランクのソナタはもちろんあの名曲ヴァイオリン・ソナタ。そのフルート版。
このソナタに関する由恵ちゃん独自の解釈がおもしろかった。
特異な構造のこのソナタを人間の一生にあてはめていた。しかも細胞分裂のところから!
おい、そっからかよ、というツッコミを入れたくなった。

アンコールのドンジョンのエレジーはフルートの細かい音型で枯葉の舞う様子を表した曲らしい。これも難しそうな曲だ。
フォーレのシシリエンヌは鉄板のアンコール曲。

堅実なピアノもなかなかのものだった。

とにかく技巧的に全く不安のない演奏。
超絶技巧曲でも軽々と(というふうに見える)吹きこなしてしまう。
しかも暖かみのある柔らかな音色も魅力たっぷりだ。

いいコンサートだった。
最後にトークがあるのも楽しいが、真面目な質問が多かったな。
ちょっとおちゃらけた質問ができる雰囲気ではなかったので自重した。

所沢にはこうした小さいながらもいいホールを持った公民館がいっぱいあるようだ。
広いからというのもあるのだろうが、ちょっと羨ましい。公民館は古いながらも常時使われているようで、とてもきれいに整えられている。
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