北陸新幹線開業記念ということで富山県立近代美術館の所蔵作品が東京ステーションギャラリーへ。
「ピカソ」というだけで混雑しそうに思ったが、雨、金曜夜の夜間開館、東京駅、そして恐らくは「20世紀美術」の難解そうなイメージのおかげで、館内は仕事帰りに立ち寄った美術好き風の人ばかり。混雑しすぎず寂しくなく、静かで意外と快適だった。
47作家による約100点は目まぐるしくて落ち着かないのではと心配してもいたが、展示作品は20世紀美術でガッチリまとまっていたので、散漫な感じはなかった。
ピカソは全部で9点。ピカソ好きにはなかなか見応えがあるだろう。個人的にはモノトーンの2点の作品が面白かった。
「肘かけ椅子の女」は石膏像が埋め込まれているかのような立体感。「静物」は遠くからパッと見たときには写実的だったのに、近くに寄ったら普通にキュビズム(笑)。
デルヴォーの「夜の汽車」がレンガの壁に掛かっていたのが、とてもステキだった。自分が駅にいて、そのまま絵の中の汽車に乗れるような、そんな錯覚を起こす。
ルオーも9点。これらが小部屋風の展示室にまとめられていた。
ルオーの作品は単体では私に何の感動ももたらさないのだが、「ルオーの宗教画だけが並ぶ狭い空間」はものすごい力で私を吸い寄せる。そこには孤独や悲しみが満ちているのに、なぜか不安がない。泣きたくなるような気持ちになるのに、去りがたい。
北陸には今までまったく縁がなかった。この機会に富山県立近代美術館蔵の作品を見ることができて、良かった。
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