シネマヴェーラ渋谷で「アイアン・ホース」を見る。この劇場独特のクラシック映画の選択が面白いのだが、この作品もその1本。ジョン・フォード監督1924年のサイレント映画。子どものころ、父を殺された男の復讐の物語はあるが、これは大陸横断鉄道の群像劇。主役のジョージ・オブライエンが登場するのは、映画が始まって役1時間後。
南北戦争中にユニオン・パシフィックとセントラル・パシフィックの鉄道建設を始めるリンカーン。バッファロー・ビルやワイルド・ビル・ヒコックの活躍。工夫たちの食料である牛を運ぶカウボーイたち。先住民との戦いでは、工夫たちは襲撃とともにハンマーを銃に持ちかえる。J・ファレル・マクドナルドらが演じる工夫たちは、後の騎兵隊物のキャラクターであり、いかにもフォード映画の住人。また、鉄道の伸張とともに、町が移動する描写も面白い。
鉄道建設の主力であった中国人労働者もしっかり出てくるし、先住民も悪役ではなく、悪いのは戦いを煽る強欲な白人。当時としては公平な描き方だ。サイレントなのにミュージカルのような場面もあり、さすがフォード監督、150分を飽きさせない。
ユニオン・パシフィックとセントラル・パシフィックがつながったのは1869年で、映画製作の55年前。今でいえば、1960年を描いた映画であり、当時を知っている人がまだ多くいたのだ。。そういえばジョージ・シャーマン監督の「100万ドルの血斗」では、冒頭に「大列車強盗」の映像を見せて時代を表した。西部劇の時代は意外と近い。
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