データ再生のドライブ対決

１０年ぐらい前にデジタルコピーとか、ＣＤ−Ｒ、ＤＶＤ−Ｒに凝っていたことがあった。

理由のひとつは、当時のリマスターＣＤというのが私には合わず、ＬＰからデジタルデータにしてＤＶＤオーディオにしたらどうかしらと思っていた。
ハイビットハイサンプリングに夢をもっていたし、雑誌の記事で、CDよりCD-Rに焼いた方が音がよくなることがあると読んだ、など。CDの寿命もあるからどんどん焼いて延命しよう、みたいな。
まったくオーディオ評論家には困ったものだ。

結果は失敗で、単純に音がよくなかったのと、当時の機器では、タップリ時間をかけてＤＶＤオーディオを焼いている最中にダウンして無駄になるエラーが続出した。

時が流れ、今年、ＯＰＰＯの１０５ＪＰでデータ再生をしたときは驚いた。
ヘッドフォンシステムで、ＣＤより、ＷＡＶファイル変換でコピーしたＨＤＤからの再生が、あきらかに音がいいのだ。

オリジナルよりコピーの方が優位になると説いたのは、フランスの哲学者ボードリヤール。
冗談みたいだが、比喩でもなくそういうことが起こるのがデジタルの世界だ。

今回、ＰＣＭ用のＤＡＣ、Ｄ７０が好結果だったので、ＯＰＰＯからデジタル伝送するデータ再生を真剣に考えねばならなくなった。
これはスピーカーシステムでの話。

で、外部ＨＤＤはコンセントが手近に余っていないとか、場所がない、めざわり、などで、最初、違う方法を考えた。

ＵＳＢメモリーを挿したが、ＵＳＢケーブルと回転系がないメリットにもかかわらず、ボケボケのあまい音で却下。
ブルーレイ（BD-R）に焼いて聴いてみたら、これはＵＳＢスティックより驚くほどいい。
DVD-Rも、おもったほど悪くない。ただ、ヘッドフォンで、DVD-RはハッキリとHDDに負けている。

BD-Rにしばらく満足していたが、CDをコピーしてオリジナルと較べると、やはり少し盤のクセがつくようだ。
悪くないが、会心の音ではない。

ヘッドフォンでの、ＣＤとＨＤＤの差はかなりのものだったので、マニアの性で、ついに外部からの再生に手を出すことに。
ただ、サイズや回転を考えると、ＨＤＤではなくＳＳＤが大本命。

夏にヘッドフォンでＳＳＤとＨＤＤを較べたときは、僅差のような気がしたがやはりＨＤＤに魔力のようなものを感じ、確認しようと思ったらヘッドフォンが壊れたのでうやむやになってしまった。

で、外部電源ＳＳＤだが、これがまったくスカで、ＵＳＢスティック時のようなあまい音。理由は不明。

やっぱりBD-Rかな、と、ホッとしたようなガッカリしたような気分だったが、その後、試しに３．５インチＨＤＤを繋いだら、これはいけそうだ！
ただ、昔違うＰＣやドライブでリッピングしたものは音があまい感じがするとか、ケーブルがグラグラですぐ抜けるという問題もあり。

ケーブルについては、昔のＡＴＡの規格のものならガッチリして、グラグラはＯＰＰＯのＵＳＢ入力のみにおさえられる。
で、昔の壊れかけのＨＤＤで実験中だが、これでいけそうだ。
ＡＴＡの３．５インチＨＤＤを探して購入しよう。

３．５インチＨＤＤの優位性については、ソニーの最高級ＣＤトラポを手がけた「かないまる」氏がホームページに書いている。
優位というより、外部の円盤をまわして読み取るというのが、いかに曲芸かということをデータ的に知り尽くした人の言葉で、説得力がある。

http://kanaimaru.com/AVQA/11/q111212.htm

ただ、ＣＤトラポのことを書いた記事は見つからなかった。ソニーに配慮して削除したのかな？

かつての超高級トラポと較べ、基本的にはかなわないだろうが、この手軽さでありながら一部勝つ部分もありそうだ。

昔、業者に頼んで結構な枚数のＬＰデジタル起こしをして、結局ぜんぜん聴いていなくて散財だと思っていたが、グルダとアバドのモーツァルト、協奏曲２０・２１番は初めて名盤だと思った。
今まではいろんなクセを聴いてしまっていたようだ。
濁りが取れて、ようやくＬＰ盤の感触を聴くことができた。
ＬＰ時代に出たものは、可能ならＬＰで聴きたいものだ。

今後しばらくは、ＬＰ起こしデータとリッピングデータ再生が中心になりそうだ。
ハイレゾダウンロードも少し挑戦してみる。
ＳＡＣＤはお休みになりそう。

上記、理屈は全くわからないのだが、すべてにおいて、材質の音がつくというのは共通している。
ＣＤは薄っぺらいし、DVD-RやBD-Rは盤のクセっぽさがある。
SSDはプラスチックペラペラという感じはある。
HDDでも、きちんと接続して安定したところに置かないと、スピーカーポン置きのようなボンつきがあるかもしれない。
ウェルフロート上のＧＴラックの上で使っているが、少し金属的なクセは残る。が、総合的にみて、３．５インチＨＤＤがもっとも頼もしく響きにクセのない筐体なのだ。

アナログな世界だ。