描き殴っているように見える。塗りたくっているように見える。でも、むやみやたらと筆を振るっているわけではなく、すべて計算ずくなのだろう。
総展示数35点中のほとんどが1960年代に作成された女性像なので、これでデ・クーニングの全貌を概観できるわけではないのだが、展示されている作品についてのみ言えば、筆致の激しさに暴力的な感じはなく、むしろエネルギーに満ち溢れている子どものような自由さがあるように感じられた。
試行錯誤を経た結果ではあろうが、なぜこのような表現手法に至ったのか、なぜ女性を描くことに固執したのか、女性のどこにどのような興味・関心を抱いて創作活動をしていたのか、そのあたりをもっと知りたいと思った。デ・クーニングの次回の回顧展に期待したい。
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