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2013年12月30日03:01

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一杯のおでん

年の瀬に思い出したことがある。


学生時代アルバイトで渋谷にあるガードマンの会社で夜間働いていた時のことである。




年が押し迫った頃飯田橋で水道管破裂がおき緊急工事でかり出された。

道路を掘り、水道管の交換工事が始まった。


運悪く東京都内は何十年ぶりかの大雪になった。


私は現場から100メートル離れた角で通行止めを担当した。


雪は肩に


頭に積り


靴は雪に隠れた


氷つく寒さが


身体中を覆う


もしかして


凍死するのか




急いでいる

タクシーの

運転手に罵声を

浴びさせられた。

次に来たタクシーにも
(その思いからか何十年後にタクシーをやった時、夜間のガードマンにご苦労様と声掛けしていたら、涙していた人がいた)

夜中の零時になるとあちこちの飲み屋から帰る客が出てきた。


『よいお年を』

の声があちこちで聞こえた。


私の体の感覚は


かなり鈍くなって

きた。


自動販売機もコンビニもない時代。


なにくそ


負けるものか


すると


店を閉じている

小料理屋の


若い女将さんが


大丈夫ですか


残りものですが


丼一杯の


おでんを



渡されました。



頑張って下さい。


うつわは


軒下に置いて下さい。


温かい丼に


涙が止まり

ませんでした。


大事に大事に


食べました。


丼は雪で


洗いました。


あたりが明るくなって雪は止みました。


工事終了して

下宿に帰ると

目の見えない


おばあちゃんが


亡くなったの


知らせが来た


葬儀には帰らなくてよい


年を越してから

帰れと父からだった


あのおでんも


寒さの中で


頑張れたのも


おばあちゃんの


思いからかも



しれない。



ありがとう。



守ってくれて。


今年苦労が


絶えなかった人

来年はそのご褒美


として倍返しの


幸福が来ます。


それが、

生きる道の定め


だからです





よいお年を


お迎え下さい。


あなたの守護神と


残りものの


おでんに



感謝合掌

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