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2013年03月17日22:41

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ハルカトミユキ

昨年、CDショップをふらふらしているときに見つけて悩んでしまった。

ハルカトミユキ

どうやらミュージシャンの名前らしい。
ジャケットは女性二人だが、この二人がミュージシャンとは限らない。可愛らしい女の子の写真やイラストをジャケットに使っておきながら、試聴してみたらむさ苦しいダミ声が聞こえてきたということも珍しくないからだ。

「ハルカ・トミユキ」なのか? 「ハルカト・ミユキ」なのか?
あるいはもっと別のところで区切るのか? はたまた何か特別な意味のある言葉なのか?
もしかしたら何かのアナグラムかも?

実際は「ハルカとミユキ」であると知ったのはしばらく後のこと。女性二人組ということなので、あのジャケットは本人たちだったのか。

1stEP(ミニアルバム、あるいはマキシシングル)はやたら長いタイトルで印象的だったのだが、そのまま忘れてしまっていた。
そして先日2ndEPがリリースされるというニュースを見て思い出した。この新作もタイトルが長い。

1stの曲名で気になっていたのが『絶望ごっこ』という曲。このタイトルがなければ、スルーして終わっていたかもしれない。

絶望ごっこ。

想像するのは尋常でない曲か、そのタイトルを逆手に取ったようなふざけた曲。
『絶望ごっこ』という言葉は両方に取れる。絶望という言葉をちょっと茶化したような感じがする。そこに批判的な精神を感じ取ったのだ。
おそらく単に『絶望』という曲名であれば興味をそそられることはなかったろう。

1stと2nd合わせて10曲。ほとんどの曲を二人で作り、作詞は全てハルカが書いている。
ハルカ(ヴォーカル、ギター)とミユキ(キーボード、コーラス)にサポートが入り、デュオ・ユニットではなくバンド形態のサウンドになっている。グランジ系のヘヴィな音だ。
ヴォーカルも繊細なシンガーソングライター風な感じ。メロディーもキャッチーである。
それなのにアンダーグラウンドの匂いがプンプンするのはその特殊な歌詞世界ゆえだろう。

狂気の世界への扉を開けようとする歌詞世界。

ラヴソングやファンタジー世界を歌うユニットではなかった。
とにかく歌詞が秀逸。
世間には心の叫びや魂の訴えなどと言われているような曲をやっている連中はたくさんいるようだが、そのほとんどは言いたいことをストレートに言っているだけか、わけわらん言葉をカッコいいつもりで並べているだけで、歌詞として成立しているものは極めて少ない。
ハルカの紡ぐ言葉は間違いなく「詩」である。

さて、『絶望ごっこ』だが、その歌詞は詩ゆえにいろいろな解釈が可能だろう。
絶望って言ったってそれはごっこ遊びに過ぎないのさ。
簡単に言うならそんなところだろうか。
しかし、そこに多くのものが含まれている。怒りや哀しみや諦め。絶望することすらできない醒めた感覚。疎外感であり閉塞感であり孤独感でもあるのだろう。

突然だが、

If I were a good man, I'd talk with you more often than I do.
(もしぼくが良い人間であるならば、きみともっと話をすることもできるだろうに)

という歌詞を含むピンク・フロイドの『イフ』という曲を思い出した。
小品ではあるが、後の『狂気』や『ザ・ウォール』といった名作のルーツとなる曲である。社会から隔絶されているという意識が最初に明確に現れた曲なのだ。それを象徴するのが引用したフレーズである。ちなみに彼らはoftenをオフンではなくオフトゥンと発音しており、それが妙にカッコいいのだ。

ハルカトミユキをピンク・フロイドと同列に語ることには無理があるのかもしれないが、私はどうも同じ匂いを感じるのだ。
というわけで、これから注目していきたい。まだ若いユニットなのでこれからどう化けるか楽しみである。

写真左はハルカトミユキの1st『虚言者が夜明けを告げる。僕達が、いつまでも黙っていると思うな。』、中央は2nd『真夜中の言葉は青い毒になり、鈍る世界にヒヤリと刺さる。』、右はピンク・フロイドの『イフ』が収録されている『原子心母』。
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