2021年1月30日劇場鑑賞
スパイ映画としては単純だけど、任侠映画としては王道、社会派実録物としては面白かったです。
物語は、韓国軍事独裁政権の最高権力者である大統領「閣下」を暗殺するKCIAの部長の苦悩と葛藤を描く。
とても丁寧な構造で、終盤に至るまで前半で起きたころが繰り返される親切な作りです。
なので、スパイ映画としては若干物足りない感じでしたが、とても面白かったです。
特に閣下が部下を唆す時の台詞、「私は君のすぐ傍にいる、君の好きなようにやりたまえ。」からの実際に忖度すると貴様はやり過ぎたと糾弾する流れは、一人の社会人としてとても胸が痛みました。
靴を履いていないことに気づく件を中盤と終盤に二度繰り返して、前任者と自分が同じ目に遭わされることを示唆したり、閣下のことを盗聴することで↑の台詞を自分のライバルである警護室長に言っていることを知り、暗殺を決意するなど本当に分かりやすい映画だなと思いました。
それと、韓国の大統領なのに昭和の日本みたいな畳の部屋に白いテーブルクロス引いたテーブルに胡坐かいて座り、やかんにマッコリとサイダーを入れて、給食に使うような金属食器で酒(マッサ)を呑むという庶民的な生活に、この人権力者だけど地は庶民的なのだなと妙な親近感を覚えました。
警護室長と大統領、自分の順番で並び子供たちの芸を観賞しながら、地球の裏側(パリ)で大統領警護室とKCIAの双方が標的(前KCIA部長)を奪い合い、結果的にKCIAが暗殺するという展開は、スパイ物では良くあるし、ゴットファーザーのクライマックスのようで、とても興奮しました。
ラスト、小物だと思っていた人物が実は一番狡賢く、状況を把握して上手く立ち回っていたと分かる展開は、韓国の歴史をほとんど知らない私には新鮮な驚きを覚えました。
また、南山と陸軍参謀本部とどちらに行くかという判断、どう考えても南山が正解なのに陸軍参謀本部へ行くあたりが、この暗殺の衝動的な事件だったということを示唆しているように見えました。
事実は小説より奇なりと言いますが、多分実際の暗殺事件も衝動的な方が緻密に作戦を練るより上手くいくだろうなと思いました、お勧めです。
ログインしてコメントを確認・投稿する