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2026年07月09日05:06

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物理実験と三徹夜

大学では物理学科にいたので、実験は学年が上がるにつれてだんだん本格的になった。
三回生の実験になると、各研究室の紹介も兼ねていたのだろう、なかなか骨のある内容が並んでいた。

記憶に残っているのは、アメリカの加速器から来たフィルムデータを使った泡箱写真の解析や、比例計数管で放射線の減衰を測る実験である。
後者は鉛の厚さを変えながら、どの程度放射線が弱まるかを調べる。
この実験のために線量計を着け、血液検査まで受けた記憶がある。
真空蒸着や低温実験もやったはずだが、強く覚えているのはこのあたりだ。

一回生のころのケーターの振り子には、まだ学生実験らしいのどかさがあった。
しかし三回生になると、そういう気楽さは消える。
実験もレポートも、急にこちらの覚悟を試してくる。

実験は二人一組で、十数種類のテーマのうち八種類ほどをこなす方式だった。
データは取る。
レポートは年度末までに出す。
出さなければ留年。
実に分かりやすい。

私は昔から、締め切りから逆算して動くタイプだった。
聞こえはいいが、要するにため込むのである。
その結果、年度末ぎりぎりになって未提出レポートに取りかかることになった。

三日、一日八時間ずつやれば終わるだろう、と見積もった。
だが現実は甘くなかった。
結局、三日三晩ほとんど寝ない三徹夜になった。

今振り返っても、あれほど無茶をしたことはない。
若かったからできたのか、若かったからそんな無茶をしたのか、そのへんはよく分からない。
ただ、締め切りから逆算して仕事をする悪癖だけは、その後もなかなか治らなかった。
人間、学ぶようでいて、案外学ばないものである。


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