広大で人気のないホテルで、冬のあいだ管理人を務めながら小説を書く。この仕事さえ終えれば、自分は作家として有名になれる。アルコール依存だの、教師をクビになっただのと見下してきた連中を、今度こそ見返せる。ジャック・トランスは、そんな焦りと自負を
今、どぜう丸『現実主義勇者の王国再建記』のアニメをAmazon Primeで見ている。この作品は、コミックスでアニメ版よりかなり先まで読んでいた。もともとは、いわゆる「なろう小説」から出た作品らしい。同じように、連載に追いついて先の展開を待っているカレ
作・雁屋哲、画・花咲アキラ『美味しんぼ』は、1983年から2014年まで『ビッグコミック・スピリッツ』に連載され、単行本は111巻に及ぶ長寿作品である。『ビッグコミック・スピリッツ』自体は、その3年前に創刊された。私は創刊号から、高橋留美子『めぞん一刻
ユング心理学には「アニマ」という概念がある。男性の無意識のうちにある女性像、あるいは感情・直感・受容性の象徴、と大まかに理解している。最近ふと考えた。私のアニマは、たぶん二人の女性像にかなり近い。しかも、どちらも昭和のテレビ番組から来ている
YouTubeにはクラシック音楽の演奏動画がたくさん上がっているが、最近発見した楽しみ方は、音楽(聴覚)+視覚(動画&楽譜)である。特にこの演奏。マーラー交響曲第1番、マゼール指揮・ガリシア管。(Recording made on May 17, 2012, at the Palacio de la
同じ題材なのに、ちゃんと別の味があるのがいい。凄腕の殺し屋が、ボスから「殺し禁止」で一般市民として暮らせ、という無茶ぶりをされる。この設定だけでもう強い。実写版は岡田准一主演で、これはこれで実に面白かった。ただ、アニメ版はアクション一辺倒で
私は反実仮想が好きである。だから、歴史上の人物の机上に、時代違いの本をそっと置いてみたらどうなるか、ということをつい考えてしまう。今回は、科学系の大型本を二冊、江戸時代の天文学者の前に置く、という想定である。一冊は岩波の『理化学辞典』。もう
いま、自宅から離れた場所にいる。そのためネットの常時接続がなく、WebやAIを使うにもスマホのギガを消費しなければならない。オンライン小説やオンライン漫画をだらだら眺めて時間を潰す、といういつもの逃げ道がない。この日記も、あらかじめ下書きを用意
酒のコミックとして、まず最初に挙がるのは、古谷光敏『BARレモン・ハート』である。これは、うんちく漫画として非常に強力なテンプレートを持っている。レモン・ハートのマスターは、たいへん分かりやすいうんちく王である。酒に関しては知らないことがない
mixiには読書日記を書く方も多い。映画日記とどちらが多いだろう、と少し考えるが、たぶん映画日記のほうがやや多い気がする。先日、ある方の読書日記を読んでいて、過去の日記タイトルから、自分の読書とどこか「交わる」ところはないか探してみた。ところが
先日、ある人の随筆文で、虚構、つまりフィクションと思われる内容を、科学的なタームでそれらしく装飾して語っている文章を見かけた。たとえば「ホモサピエンス」とか「ヒートポンプ」とか、そういう言葉を混ぜ込んで、全体にもっともらしい雰囲気をまとわせ
かつて SETI@HOME というプロジェクトがあった。各家庭のPCの余剰計算力を使って、宇宙から届く電波の中から意味のある通信を抽出しようとする試みである。あの発想には、宇宙の沈黙に対して、せめてこちらから耳を澄まそうとする人類の姿がよく表れていた。
私は反実仮想が好きである。だから、SF的な状況を勝手にこしらえては、いたずら好きのタイムトラベラーが歴史上の人物に妙なものを置いていったらどうなるか、などと想像してしまう。今日もまた、そんなことを考えた。たとえば、和算史上最大の学者とも言われ
映像表現として、公開当時の1968年には画期的だった。それは間違いない。ただ、物語の構成として見ると、直線的で、考える余地が限定されすぎているように思う。この映画では、モノリスによる「昇天(アセンション)」が描かれている。途中で人類とAIの闘争も
私は「問い」を引っ張り出すのが好きである。答えがすぐに出る問いよりも、何十年でも、場合によっては何百年でも考え続けるに値する問いのほうに惹かれる。中島敦『悟浄出世』の沙悟浄が、川底で真理のドブさらいをしているようなイメージ、とでも言えばよい
夏休みのバイト中、昼休みは四十分ほどしかなかった。しかも、たまたま家の隣がバイト先だったので、昼になると自宅に戻って食事をかきこみ、その残りの時間をほとんど全部『指輪物語』に注ぎこんでいた。J・R・R・トールキン『指輪物語』、評論社文庫の『旅
ディケンズの『クリスマス・キャロル』は、言うまでもなく良い話である。映画にもなっているし、子供のころにはジュブナイル版を読んだ。たしか『小学館世界名作全集 イギリス編』だったと思う。大人になってからは新潮文庫でも読んだ。で、大人になってから
手帳に何を書くかといえば、これが案外ない。あまりにも新品のままなのも可哀想なので、今年から三食のメニューを書くことにした。朝は何を食べたか、昼は何だったか、晩は何だったか。そんな程度のことでも、書いておけば少しは手帳らしくなる。毎年買って、
『ガラスの仮面』に登場する速水真澄は、冷徹な経営者ではあっても、冷酷な経営者ではない。また、『ルパン三世 カリオストロの城』のルパンも、冷徹な犯罪者ではあっても、カリオストロ伯爵のような冷酷な人物ではない。この二つを並べてみると、「冷徹」と
昨日に続いて、小路幸也『小説家の姉と』を読んでいる。ただし今日は自宅なので、読書はすっかり平行読書モードに戻った。本を読みながら、別の本に手を出し、オンライン小説をのぞき、楽譜を見て、ついでにWEBも眺める。あまり褒められた読み方ではないが、
殺人も宇宙人も出てこない小路幸也『小説家の姉と』を、まだ途中なのだが一気に半分以上読んだ。孫が急に熱を出し、両親に頼まれて様子を見ていたのだが、本人がしんどそうに眠っているあいだ、持参の本が思いのほか進んだ。ネタバレはしないが、この小説、い
昨日は、YouTubeで見つけた一本の動画から連想がずいぶん遠くまで飛んだ。最初は、アコーディオンで一人で演奏するヴィヴァルディ《四季》の「夏」である。https://www.youtube.com/watch?v=9SE222v1eyMこのAlexandr Hrustevich の演奏を聴いて、その表現力と
大学では物理学科にいたので、実験は学年が上がるにつれてだんだん本格的になった。三回生の実験になると、各研究室の紹介も兼ねていたのだろう、なかなか骨のある内容が並んでいた。記憶に残っているのは、アメリカの加速器から来たフィルムデータを使った泡
私は高校の教員だったので、同僚はみな当然ながら大卒以上で、中には大学院を出た人もいたのだろう。けれど、教員になって数年もたつと、そういう出身大学や学歴は、ほとんど意識されなくなる。なぜかといえば、そんな形ばかりのことよりも、教える内容の深さ
とあるドラマの主演二人のトラブルを見ていて、セクハラとパワハラのことを考えた。報じられている内容を前提に考えてみる。さらに深い何かがある可能性はあるけれど。そのドラマに出演する以前から、女性俳優にはセクハラのトラウマがあったという。もしそう
今の小学校では、冬の暖房はどうなっているのだろう、と急に思った。もう今は夏も冬もエアコンで空調されていて、教室は一年中それなりに快適なのかもしれない。私の子どものころは、石炭ストーブ、いわゆるダルマストーブだった。冬になると、日直が資材置き
今読んでいるカレヤタミエ『捨てられ公爵夫人は……』の中に、ちょっと印象に残る言葉があった。料理長の少年エド君の言葉を、少し年下のウィリアム君が思い出す場面である。「強火の5分と、弱火の10分は全く違う」これは、実際に料理をする前の自分――物理
「杞憂」という言葉がある。天が落ちてくるのではないか、地が崩れるのではないかと心配して、眠れなくなった人の故事から来た言葉で、要するに取り越し苦労のことである。私にも、ひとつそういう杞憂がある。太陽は少しずつ明るくなっていくので、数億年もた
まず、二つの文化圏の、「愚か者」と「デクノボー」を比べてみて下さい。ビートルズのThe Fool On The Hill と、宮沢賢治『雨ニモマケズ』の二つ。賢治の詩は著作権切れなので、ここに堂々と全文掲載できる。ビートルズのこの曲の歌詞は、 Fool On The Hill L
1995年の阪神・淡路大震災と、2011年の東日本大震災。この二つの大地震に、どちらも出張先で遭遇した人は、いったいどれくらいいるのだろう。ふとそんなことを思って、フェルミ推定でざっくり考えてみた。フェルミ推定というのは、正確な調査が難しい数量を、