タイトルに挙げた本・児玉真美 著(ちくま新書)を読んでいる。
まだ途中までなのだが、読んでいていろいろ考えさせられる。
まず、安楽死をめぐる議論では、いくつかのものを厳密に分けて考えなければいけないのだと思う。
たとえば、緩和ケア、尊厳死(延命措置の停止、いわゆる消極的安楽死)、積極的安楽死(医師が積極的に死に至らしめること)、そして医療者による自殺幇助。
これらは似ているようで、実際にはかなり違う。
日本では、前の二つまではある程度許容されているが、いわゆる安楽死にあたる三番目以降は違法、あるいは犯罪行為とされているはずだ。
この本を読み進めていくと、安楽死を合法化した国では、その適用条件が少しずつ緩くなり、いわば「すべり坂」のように広がっていく傾向がある、という著者の主張が見えてくる。
そして国によって速度の差はあるにせよ、ついには医療者による自殺幇助まで合法化される方向に進むことがある。
著者は、それが社会による命の選別や切り捨てにつながりかねないとして、いくつもの事例を挙げている。
安楽死について考える時の、いわばネガティブ派の代表的な議論として読んでよい本なのだろう。
ただ、少なくとも今のところ、著者の見方にはかなり説得力があるように感じている。
とくに印象に残ったのは、こうした制度が、医療の側にある「難病や障害を治療する努力」へのインセンティブを弱めてしまうのではないか、という指摘だ。
もし「治す」よりも「終わらせる」方向が制度として整ってしまえば、社会全体の発想そのものが少しずつ変わってしまうかもしれない。
そこにはやはり怖さがある。
もっとも、私はまだこの本を読み通していない。
だから、ここで結論を急ぐつもりはない。
安楽死を肯定する側の本も読んだうえで、この問題については自分なりの考えを持ちたいと思っている。
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