mixiユーザー(id:4380531)

2025年09月09日00:00

362 view

映画2025年7月,8月『スーパーマン』

フォト
国宝
ドールハウス
F1 エフワン晴れ
ルノワール
無名の人生
顔を捨てた男晴れ
スーパーマン
ストレンジ・ダーリン
夏の砂の上
フォト
BAD GENIUS バッド・ジーニアス
タイムズ・スクエア
私たちが光と想うすべて晴れ
何も知らない夜
星つなぎのエリオ
入国審査晴れ
ファンタスティック4 ファースト・ステップ
長崎 閃光の影で晴れ
KNEECAP ニーキャップ
フォト
脱走
アイム・スティル・ヒア
この夏の星を見る晴れ
愛されなくても別に
ChaO晴れ
MELT メルト
あの夏、僕たちが好きだったソナへ
大長編 タローマン 万博大爆発晴れ
でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男
リンダ リンダ リンダ晴れ
フォト
7〜8月鑑賞は28本。レビューは6作品。書けなかった作品で心に刻まれたのは・・・
フォト
『この夏の星を見る』は思春期をコロナ禍によって遮断された世代を描き、単なる成長譚ではない時代の証言として機能させ、地味なエンタメという不思議な魅力を発揮する。群像劇を淡々と積み上げる構成は小津的だが、短いカット割りや独特なアングルが同時代の不安定さを視覚化する。中盤のスターキャッチコンテストで初めて、溜め込んでいた熱量を噴出させるのが鮮やかで、喪失を強いられた世代に向けて、コロナ禍だからこそ得られた青春を肯定するメッセージを贈ってくれる。Z世代には必見ではないだろうか。
フォト
大ヒット『国宝』は個人的には吉澤亮&横浜流星(どちらも東映ヒーロー出身!)の起用という視点で必見だったのだが、舞台ダイナミズムをスクリーンに落とし込み、映画的言語に翻訳する試みが見事で、特に2回目の二人道成寺の場面でせり出しから登場する喜久雄の表情は、役者の肉体そのものを死線の芸とする気配を漂わせ圧巻だった。ただし作品全体の緊張感は強靭ながらも演劇的強度に引きずられ過ぎているので、スクリーン固有の表現として不均衡さも残る。自分の感性には深く刺さらなかったのが正直なところ。
フォト
最もラディカルな異色作は『顔を捨てた男』が圧倒的で、セバスチャン・スタンの特殊メイクと、実際に神経線維腫症を抱えるアダム・ピアソンのノーメイク出演というキャスティングが、この映画がいかに外見を制度化してきたかを逆照射することに挑戦している証。ブラックコメディという形式を借りながら、自己受容と外見至上主義を正面からぶつけ合い、人間が自らのアイデンティティをどこまで肯定できるのかを突きつける。5月鑑賞の『サブスタンス』に続く流れとして観ると、近年の欧米映画が身体と社会の関係性を単なる物語装置ではなく、社会批評の最前線に据えていることが鮮明になる。ラストに主人公が見せる「後悔を噛み殺す笑顔」は矛盾を凝縮した忘れ難い表情だった。
フォト
3本と少なかったアニメ作品(鬼滅は未鑑賞)では『ChaO』が際立った。緻密な筆致で画面全体を埋め尽くす密度は、情報過多の現代をそのまま映画的に翻訳したかのようで他に類を見ない。敢えて例えるなら全盛期のタツノコプロのエネルギーを想起させるが、それより更にポストモダンに洗練される。異形のキャラクターデザインは作画の精緻さを超えて、ありきたりなファンタジーの枠組みを逆手にした物語の必然を問うような印象。混沌から輪郭を立上げるような後半の怒涛の伏線回収は物語の生成を追体験させてくる。劇場画面で観るべき作品なのに、興行振るわず早々に上映縮小となっていたのが残念。
フォト
『MELT メルト』はベルギーとオランダの合作で、主人公とその少女時代が交互に描かれ時間軸を交錯させる語り口は単なる回想構造にとどまらず、過去の惨劇が現在を絶えず侵食し続けることを映像的に可視化する。後味の悪さは西欧映画特有の倫理観に根差していて、復讐劇をジャンル的カタルシスから意図的に切断する。
フォト
『スーパーマン』(アメリカ)
クリストファー・リーヴ版シリーズから数えても今回で3回目のリブート。冷戦時代に世界のリーダーシップとして強い理想のアメリカを体現していたリーヴ版は、懐古的視点を外して再鑑賞すると、穿った見方ながら現在のアメリカの凋落を皮肉っているようにも見えてくる。続くヘンリー・カヴィル版シリーズは9.11以降の不安定時代に現れた神話的救世主を意識しているのだが、良く言えばシリアス、悪く言えばとても暗い。コスチュームもダークだったのに対し、今回のデヴィッド・コレンスウェット演じる新しいスーパーマンは明るいカラーリングで赤いパンツも復活。圧倒的に人間味が増したクラーク・ケントのキャラクターに意外性があり、完全無欠のスーパーヒーローとはほど遠い人間味豊かで喜怒哀楽の振れ幅を持つ青年が主役。
フォト
だが冒頭から敗北するスーパーマンに、アメリカ国民の視線は厳しい。特に非友好国であるジャルハンプルを支援したことで、世論からの批判を浴びるスーパーマンは、自分の正体を知る恋人であり同僚でもあるロイス・レイン(レイチェル・ブロズナハン)とも、その活動の是非の議論を求められる。誤解や偏見によって非難される描写も含めて、人々を救うという信念が必ずしも母国の正義とは限らない。価値観の一方的な押し付けだと恋人からも指摘を受けることで志が揺らいでいくクラーク・ケントの姿は、まさにアメリカが一方的に他国の紛争に介入することへの懸念を反映している。
フォト
スーパーマンを脅威とみなす天才科学者レックス・ルーサー(ニコラス・ホルト)が、AIを駆使してスーパーマンを追い詰めていく。故郷クリプトン星の両親からのメッセージを復元し世界に配信するのだが、それはスーパーマンは地球を支配するために送り込まれたという衝撃の事実だった。自身の素性を捻じ曲げられて苦悩するクラーク・ケントは、これらこそが現代アメリカの象徴なのかと推察しながら後半の物語を見守る。
フォト
人間臭いスーパーマンに拒絶するファンもいるだろうが、もはや神話を継承するだけの完璧な超人像では、あらゆる面で疲弊している現代アメリカとベクトルが合わない。絶望から立ち上がり自分の使命を見出していく過程を描くストーリーは、彼の人間としての未熟さに焦点を当てている点が、新生DCユニバースの幕開けとして悪くない。
フォト
不運だったのは『鬼滅の刃 無限城編』と公開時期が被ったことで、公開翌週から早くもIMAX劇場を外されるなど不遇の扱いになってしまった。ジェームズ・ガン監督によるこの新シリーズは是非とも続いて欲しい。サブキャラのグリーン・ランタン(ネイサン・フィリオン)、ホークガール(イザベラ・メルセド)、ミスター・テリフィック(エディ・ガテギ)も個性的で、今回は顔見せだけだったスーパーガール(ミリー・オールコック)も出番が用意されているはず。更には新バットマンとの邂逅にも期待せずにはいられない。

<映画レビューを切通理作さんのメルマガ内にて連載しています>
月2回配信、購読開始から1ヶ月無料
http://yakan-hiko.com/risaku.html
切通理作編集メールマガジン『映画の友よ』
【 料金(税込) 】 660円 / 月
【 発行周期 】 月2回配信
【 最新発行日 】2025年8月31日
映画の友よ Vol.276, 277
<『こんな事があった』『私たちが光と想うすべて』『入国審査』>
<『大長編 タローマン 万博大爆発』『長崎 閃光の影で』『生きし』>
14 8

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2025年09月>
日 月 火 水 木 金 土
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930    

最近の日記

もっと見る