『特捜戦隊デカレンジャー 20th ファイヤーボール・ブースター』(日本)
新宿バルト9にて期間限定上映。2004年版スーパー戦隊が終了10年後の2015年に10周年作品『特捜戦隊デカレンジャー 10 YAERS AFTER』を製作。そこから更に10年経過した今年、つまりレギュラー放送から20年後に再びの新作。俳優陣が誰も欠けることなく、ビジュアルも放送当時と変わらない若々しさ健在の6人。加えて白鳥スワンを演じる石野真子、ナレーションの古川登志夫も健在というコンプリートぶりは20年の月日を感じさせない。ある意味いつも通り過ぎて特別感がないことがサプライズなデカレンジャー。事前に話題となっていた高知ロケを含めて、荒川稔久脚本、渡辺勝也監督というシリーズメインのコンビと、今は出世して役職付きの塚田英明がプロデューサーとして現場復帰。20年経ってもここまで変わらないプロジェクトが組める戦隊シリーズは貴重。

白昼のメガロポリスで発生した爆破事件。ジウジッソ星人マープル(声・福山潤)の目撃情報から怪しい女性エイリアンを追う地球署のセン(伊藤陽佑)とウメコ(菊池美香)だが、追い詰めかけた所で現れたプレミアデカレッドとの呼吸が合わず容疑者を取り逃がしてしまう。プレミアデカレッドを装着していたのはバン(さいねい龍二)ではなく、彼がファイヤー・スクワッド隊で指導中の新人刑事・江戸川塁(長妻怜央)だった。

女の正体はかつてデリートされた銀河の麻薬王タレワラーネの妻ラエンジョ(黒川芽以)と判明。帰ってきたバンと塁が加わった地球署のメンバーは、ドギー・クルーガー(声・稲田徹)の指揮とスワン(石野真子)のサポートを受けながら、地球〜宇宙各所までの捜査を開始する。塁の指導に徹して自分自身の行動をセーブしているバンの態度が気に入らないホージー(林剛史)は、ジャスミン(木下あゆ美)と共にかつてラエンジョの住んでいたチーマ星の捜査に向かう。そこには捜査を立ち塞ぐ庭師の老婆がいてふたりの行く手を阻んだ。

一方、爆破現場一帯から発見された謎の手掛かりを求めて、センとテツ(吉田友一)は高知県の牧野植物園に身を寄せるリドミハ星人モクミス(川村文乃)を訪ねる。かつての出来事から地球署への恨みを持っていたモクミスだが、センの高知名物土産作戦で和解すると、爆破事件で発見された植物が宇宙大麻の種であることを証言した。この爆破事件の背景に暗躍するアリエナイザーの本当の目的、そして真犯人を突き止めるため、デカレンジャーは事件の核心に迫る。

これまで地球署に配属されてきた新人刑事達が、ほどなく他部署に異動してしまう事例を振り返り嘆くウメコの言葉が前振りとなり、今回の新人刑事・塁も地球署メンバーの旧態依然で勘に頼った根拠の薄い捜査方法に納得できない序盤戦。だがやがて信頼関係とチームワークによって他類のない円滑な捜査が謎を解明し、塁の単独行動によって起きたミスを瀬戸際で防ぎ、同時に真犯人をジャッジメントするという実に上手な展開。事件解決後に塁はデカレンジャーの捜査体制にポジティブアンサーを出す。

シリーズ定番の数々の台詞やパフォーマンスを漏れなく盛り込み、往年のデカレンジャーここに健在というアピールが完璧。ただし唯一ファイヤー・スクワッドから戻ってきたバンだけが、若手指導の立場からSP1ライセンスを手放して嘗ての熱いスピリットを捨てている。それがどうにも気に入らないホージーは、お馴染みの「相棒って言うな」を封印しており、ここだけが往年のファンを苛つかせるストレススポットとなる。もちろんこれはクライマックスのカタルシスに向けた伏線。

決戦地にデカマスターの愛刀・ディーソードベガを持って現れるホージーのシチュエーションは予想以上に胸熱。火の玉野郎の面目躍如に戻ったバンを筆頭に、10年ぶりとなる6人の名乗りシーンは鳥肌モノ。終わってみれば露骨だった高知土産紹介コーナー(吉田友一の現職が高知地域活性推進課職員/妻は菊地美香で彼女も高知在住)も御愛嬌。世代交代がテーマと見せかけて、実は違うという展開は相変わらずのデカレンジャーらしさ。これなら30thもできるのではないだろうか。
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