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2024年06月20日22:00

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映画『FALL/フォール』『イビルアイ』『エンドロールのつづき』

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『FALL/フォール』(イギリス, アメリカ)
ようこそ、地上600mの絶望へ!『海底47m』で海底置き去りの恐怖を描いた製作スタッフが、今度は高所での置き去りパニックを作品に仕立てた。フリークライミング愛好家の主人公ベッキー(グレイス・キャロライン・カリー)が、クライミング中の事故で夫を死なせてしまい失意の底から立ち直れない状況にあるのを打破するため、親友のハンター(バージニア・ガードナー)が計画したのは古びた高層テレビ塔に登るチャレンジだった。だがその鉄塔は老朽化が激しく、地上600mの頂上地点で成功を祝ったその瞬間、梯子が崩れ落ちて降りる手段を失ってしまうふたり。スマホの電波もない状況下、果たしてこの絶体絶命から生還することができるのか? 
CGを駆使した映像であると解っていても、風のうねりと揺れる鉄塔、見降ろした景色の恐怖感に、映画館の席で悶絶しそうになる。これは絶対に劇場の大画面で観るべき作品。途中から少し辻褄が合わないことがあったり、ありえない奇跡が起きたりという引っ掛かり点が出てくる。だがそれは後半で全部解消される。生き延びるための僅かなチャンスと、それを失ってしまう絶望感が繰り返され、生き延びたいという気持ちの強さが試されていく。それはある意味、夫を失ってからのベッキーが持てなくなっていた精神力であり、つまりハンターがベッキーを立ち直らせる計画として正しい選択だったいうことになる。その代償は計り知れなかったのだが。
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『イビルアイ』(メキシコ)
終盤展開の衝撃度ではサスペンスホラーとしてベスト級。病気の幼い妹ルナの治療のため、両親と共に祖母の暮らす田舎町に移住してきた13歳のナラ(パオラ・ミゲル)が、その祖母ホセファ(オフェリア・メディーナ)の不可解な行動に翻弄されていく。
ナラがホセファを人間ではなく魔女だと疑っていくのが前半のシーケンス。屋敷の使用人アビゲイルからカリブの吸血魔女と三姉妹の伝説を聞いたナラは、夜になると人間の皮を脱いで子供の血を吸いにくる魔女の正体がホセファに違いないと思い込む。ただし演出的には祖母に虐げられる厳しい生活に耐えられないナラが、そのトラウマによる妄想としてホセファを魔女だと勝手に勘違いしているという描かれ方なので、鑑賞側を含めて誰もナラの言動を信じようとは思わない。妹ルナの病気が悪化しないうちに母親レベッカ(サマンサ・カスティージョ)を味方にして、ホセファの魔手から逃れようと森へ逃げだすナラは、そこで衝撃の事実を目の当たりにする。
終盤になると映像的なインパクトも含め、物語の全容整理がつかない混乱が起きるほど目まぐるしい。奇怪な魔女と三姉妹の話をベースに状況を推理しようとしても、それをミスリードさせる演出がスピーディーに仕組まれているため解釈が追いつかない。鑑賞後に解説文を読んで補填することでようやく理解に辿り着く。
(ここからネタバレ)Evil Eye=邪眼とは紀元前6世紀から地中海地域で伝わる俗説で、悪意ある視線によってもたらされる呪いを指している。アビゲイルの語った昔話に登場する三姉妹のひとりが、実はホセファ自身だったことが途中で判明するのだが、この呪いの連鎖を始めた張本人はホセファではなく、幼女の生き血を吸って生きながらえている別の魔女が他にいる。やがて主人公のナラ自身が覚醒する儀式に繋がっていくこの異様さは、ジャンプスケアな演出があまりに過剰なところに閉口しつつも、良い意味で不親切な謎解きスリラーとしてのさじ加減を保ったまま力技で結末まで引っ張りきる。まさかの殺人と入れ替わりの展開に繋がる終盤、バッカと呼ばれる伝説の怪物が姿を現す。伝記で知られる一族繁栄に利用される悪魔の姿は、女系一族のお家騒動に悪魔の契約が絡むサバイバルゲームで終結する。
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『エンドロールのつづき』(インド, フランス)
インドの田舎町で列車利用客にチャイを売って家族の生活を支える少年サマイ(バビン・ラバリ)が、劇場映画に心を奪われ熱中していく物語。地元の映画館がデジタル上映にリニューアルするところから、物語が思わぬ方向に展開していく驚きの終盤に目が離せない。フイルム上映の終焉を迎えた映画業界の郷愁を、まさかのインド映画がこんなに愛しく語ってくれるとは。『RRR』の双璧に位置するインド映画界の真骨頂を垣間見た気持ちになる。友達に見送られて旅立つ少年が、本当の独りになってから流す涙とその後の笑みに輝く未来を感じずにはいられない。アミターブ・バッチャンから始まりインド三大カーンを経て紹介されていく、偉大な映画人たちへのリスペクト(日本からは黒澤明)も素晴らしい。

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