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2023年07月04日00:00

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映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』

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『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』(アメリカ)
ストーリーが分かっている2回目鑑賞では、開始10秒くらいで終盤のとある場面を連想するため号泣必至。ことあるごとに押し寄せる涙腺崩壊の三大ポイントは「友達って素敵」「あるべき自分であれ」「これはあなたの物語」(以下ネタバレあり)
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冒頭、採掘コロニーから復興中のノーウェアで、ロケット(声:ブラッドリー・クーパー)が聴くきレディオヘッド「Creep」から始まるオープニングクレジット。今回はこれまでのシリーズよりも幅広い時代範囲の1975年〜2012年から聴き馴染みのある楽曲が使われる。選曲は2作目で命を落としたヨンドゥ(マイケル・ルーカー)の残したズーンのプレイリストからということになっている(計13曲)。
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ガモーラとの別れで失意を引きずるピーター・クイル/スター・ロード(クリス・プラット)を励ますことに、もう疲れているノーウェアの仲間たち。バックに流れるのはハート「Crazy On You」。他でインパクトがあった曲は中盤、瀕死のロケットを前にガモーラ(ゾーイ・サルダナ)がプレイヤーを起動して始まるアリス・クーパーのカバー曲「I’m Always Chasing Rainbows」。オリジナルはなんとショパンによる幻想即興曲の後半部分。カウンターアース壊滅への前奏曲としてガーディアンズの作戦遂行を盛り上げる。
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本作のために『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ エンドゲーム』『ソー ラブ&サンダー』を配信でおさらい。ピーターを知らない過去から来た“別人格ガモーラ”のくだりは、これらを観ておかないとストーリーが繋がらない。この不親切極まりない筋立てに閉口しつつ、全シリーズを網羅しておくことでのみ味わえる機微な心理変化に胸が熱くなるのも事実。MCUは罪深いほどに商売上手だと言わざるを得ない。更には配信限定の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』も事前鑑賞して準備万全で挑んだ1回目鑑賞。まさかGotGでべちょべちょに泣かされるとは思いもよらず。
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因みにこのホリデースペシャルではケビン・ベーコンが「大勢の命を唄で救った伝説のヒーロー(ピーター視点)」として本人役で登場し、ガーディアンズの仲間達とまさかのセッションを披露するサプライズあり。時系列的にその直後に繋がる今回のVOLUME3は、ジェームズ・ガン監督としての最後のMCU作品ということが決まっている。銀河一のはみ出し者チームとして愛されてきたガーディアンズメンバーは、それぞれが訳ありで心に傷を負う因縁の過去を持つ連中ばかり。紆余曲折の群像劇を繰り返すことで、少しずつ手を取り合って家族になってきた現メンバーの集結が、今回で最後になることが公開前から公言されていた。
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キーポイントとなるのは賞金稼ぎアライグマのロケット誕生までの過去話。毒舌絶えないがさつ者だが、優しきアウトローであることは誰もが認めるキャラクター。彼は自分の過去を語りたがらず、これまで台詞で聞いてきた「俺は引き裂かれたり元に戻されたりして作られるように頼んだわけじゃない。」という類の台詞から想像するしかなかった。
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アダム・ウォーロック(ウィル・ポールター)によって重傷を負い生死を彷徨うロケットの意識にリフレインされるのは、幼いアライグマだった日から始まる悲しい過去。本作プロローグはそこから始まり、完璧な種による理想世界を目指す狂気の科学者ハイ・エボリューショナリー(チュクーディ・イウジ)の生体実験によって誕生したロケットの生い立ちが明かされる。想定以上の閃き型の知性を持ったアライグマとして、カウンターアース(動物擬人化世界)創設の重要実験動物として扱われると同時に、生みの親よりも高い知能指数を発揮したことで嫉妬心を買ってしまった幼いロケットは、善悪の意味すら知らない段階でハイ・エボリューショナリーから「ありのままの自分であるな、あるべきものであれ」と教えられる。
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一緒に隔離されていた被験動物で半分機械化されている融合生命体にカワウソのライラ、セイウチのティーフ、ウサギのフロア。ロケットにとって彼らは生まれて初めての友達。現在と並行して差し込まれる一連の回想シーンはどうしようもなくエモーショナルで、彼の名前が「89P13」から「ロケット」になる場面、そして後のライラとの再会シーンに至っては、ジェームズ・ガンの常套手段だと判っていても感情の高ぶりに抵抗できない。完璧を目指すハイ・エボリューショナリーから不完全な存在として切り捨てられて始まるロケットの闇物語。これを払拭し終止符を打つには過去の因縁に決着をつけるしかない。
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「あるべきものになるのではなく、あるがままを受け入れる」。監督も公言している通り今回は宇宙を救うのではなく、ロケットが自分自身を救う物語が主軸であり「Raccoon(アライグマ)」と呼ばれる度に相手に噛みついていた彼が、自分の最初の記憶と同じ場所の檻にいた幼いアライグマを見つめて感じたものは何だったのか。ここを経てハイ・エボリューショナリーに自らを初めて「俺はロケット・ラクーンだ!」と名乗りきる瞬間は鳥肌もの。真っ先に思い浮かぶのは『ギャラクシー・クエスト』(1999年)ドクター・ラザラス(アラン・リックマン)の「トカゲヘッドにかけて(戸田奈津子翻訳版)』のシーケンス。他人から言われて気に入らない自分の呼称を、信念を持って自分の言葉にする瞬間のカタルシスが共通する。
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瀕死のロケットを救う唯一の方法である、体内のキルスイッチを解除するパスワードを得るために行動するガーディアンズ。総じて本人たちは大真面目なのに、言動がどうにも可笑しいというシリーズお得意の会話劇。特にオルゴスコープに潜入してから脱出までのドタバタ騒動は、シリーズを通じても最高に笑える潜入&乱戦劇。時に野蛮で不謹慎極まりない会話を通じて、個性を尊重することが如何に大切で難しいことかという本シリーズが掲げる普遍のテーマは常に意識されている。
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例えば印象深いのは、カウンターアースでのドラッグス(デイヴ・バウティスタ)、ネビュラ(カレン・ギラン)、マンティス(ポム・クレメンティフェス)のやり取り。ピーターの指示に従わず勝手な行動をとってピンチを招いたドラッグスを怒りの限りに罵倒するネビュラ。対してマンティスは「ドラッグスはバカだけど、良いところもある」とフォローをする。その後3人は大勢の実験体の子供たちと遭遇。恐怖に怯える子供たちを笑わせてリラックスさせることができたのはドラッグスだけ。ネビュラはドラッグスを腐したことを後悔し詫びる。
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相手を認める大切さを身に着けていく彼女の成長にまた涙。1作目では冷酷無比のサイボーグヴィランとして登場したネビュラは、義姉ガモーラとの関係修復に伴ってガーディアンズの仲間になってきた。サノスの娘という十字架を背負い、生身の身体部分は殆ど残っていない彼女の生き様はやるせない。それがピーターを思いやり、ついにはロケットの生還に思わず目頭を抑える仕草までを見せる。
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1作目から蒔かれてきた種を全て刈り取る今回は、繊細なサブストーリーが全キャラクターに最低ひとつは仕組まれている。クラグリン(ショーン・ガン)しかり、CCCP犬のコスモ(声:マリア・バカローヴァ)の素性までもが語られる。
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本作最大強敵ヴィランのアダムが心変わりを見せていく過程も、自分自身の存在への違和感と、それぞれが抱え持つトラウマを克服するために必要だったものが、力でも怒りでもなく肉親でもない、一番近くにいる他者を受け入れることこそが調和の始まりだということを繰り返す物語のひとつ。ピーターと別人ガモーラに至っては、潔く未練を断ち切る結末に、あるがままを認め合うことが必要なのだと納得させられる。
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グルート(声:ヴィン・ディーゼル)が最後に発するいつもと違う台詞「I love you guys」も特別なラストを彷彿させ、ここはジェームズ・ガンがTwitterでの質問に答える形式で、長いシリーズを経て鑑賞者たちもついにグルートの言葉を理解できるようになった証だと明言していて嬉しくなる。
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大決戦に繋がっていくロケットの決断シーンから流れ始めるのがビ―スティ・ボーイズ「No Sleep Till Brooklyn」。1作目でグルートを失った時の悲しみぶり、2作目でのヨンドゥを偲ぶ姿、そしてインフィニティ・ウォーでサノスとの戦いに挑むソーとの会話に仲間を失うことの恐れと怯えの含みがあったロケット。彼の決断は、ハイ・エボリューショナリーと対等に向き合うこと。そこに足並みを揃えるガーディアンズ全メンバーの肉弾戦が展開されるクライマックス。長回しのワンカットに見せる映像技術と、楽曲のテンポとタイミングに合わせた殺陣の演出に興奮度は頂点となる。ここだけは笑い要素もシャットダウンして、シリーズファイナルに相応しい最高のラストアクションを披露する。
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ロケットは全ての人々、全ての生物を救うまで闘いをやめなかったのに、ハイ・エボリューショナリーは殺さなかった。これがシリーズ1作目から少しずつ築かれてきたあるべき姿を認め合うことで育まれたガーディアンズの昇華なのだろう。それは生死の狭間でライラと再会して生還した、新しいロケット・ラクーンの始まりでもあり、新キャプテン任命の決定打であったのかもしれない。エンディングにロケットがかけるレッドボーン「Come And Get Your Love」は、1作目の冒頭で使用されるピーターが好きだった曲。なんという素晴らしいフィナーレ。ジェームズ・ガンが戻ってこれて本当によかった。ドラッグスが通訳してアダムに伝えたグルートの「やり直すチャンスはいくらでもある」は、まさに監督自身に込めた言葉であり、ロケット同様に自分を救う物語が帰結したのだと感じる。ガーディアンズ最高だった9年間、本当にありがとう。

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